[東京 6日 ロイター] - 日本航空(JAL)は6日、2023年3月期(今期)の連結純損益(国際会計基準)が450億円の黒字になる見通しと発表した。前期は新型コロナウイルス禍の影響で旅客需要が落ち込み1775億円の赤字だった。今期は国内線・国際線ともに旅客需要が回復に向かうほか、国際貨物の好調も続くとみて3年ぶりの黒字転換を見込む。

会社の純損益予想は、IBESがまとめたアナリスト10人のコンセンサス予想670億円の黒字を下回っている。

今期の売上収益は前期比2倍の1兆3900億円を見込む。

旅客需要は、国内線がコロナ前水準に比べ90%程度、国際線が同45%程度まで回復すると想定している。

赤坂祐二社長は決算会見で、欧米や日本が「ウィズ・コロナのフェーズに入ったのではないかと想定しており、そこが去年と今年と大きく違うところだ」と指摘。旅客需要は「力強く回復していく段階に入った」との見方を示した。

円安の影響について赤坂社長は、海外から日本を訪れるインバウンド需要には「非常に良い方向に働く」と説明。国内線や日本から海外へ向かうアウトバウンド需要に対しては「かなり需要が溜まっている状況にあり、円安の(マイナスの)影響はそんなに出てこないだろう」と話した。

政府が現在1日当たり1万人に制限している入国者数は「上期中に3万人」(赤坂社長)まで増えることを想定し、国際線の旅客需要を見積もっているという。政府がゼロ・コロナ政策を徹底している中国路線、ウクライナ情勢が深刻化している欧州路線の便数回復は難しい情勢だが、北米路線は今下期にはコロナ前の水準にし、通期で8割強を戻す方針。東南アジア路線も6―7割程度に戻したい考えだ。

4月15日搭乗分からの国内線の値上げについて赤坂社長は、安全安心対策や環境問題対応にコストがかさんでいることに加え、北米の人件費高騰などから値上げに踏み切ったと説明。コロナ禍が明けてもその価格水準は「継続させてほしい」と理解を求めた。