2022/5/5
不登校を乗り越え起業。ホリエモンも絶賛した「12歳起業家」の挑戦
「圧倒的ナンバーワン」と絶賛
ホリエモンの愛称で知られる実業家の堀江貴文氏が、そのプレゼンを見て「感動した。いままで数多くのプレゼンを見てきたけど、圧倒的ナンバーワン」と評した、現在中学校1年生の起業家がいる。
彼の名は「リ レウォン」。
その堂々たるプレゼンは、400万回以上再生されたtiktokの動画でも様子を垣間見ることができる。
レウォン氏は小学4年生時には、オリジナルゲーム「元素カルタ」を開発し、クラウドファンディングで約400万円を調達。
さらには、小中学生が社会課題解決のアイデアを競う、「スタートアップジュニアアワード2020」小学生の部で大賞を受賞した。
また、ソーシャル経済メディア、NewsPicksが2021年12月に開催した起業プレゼン・リアリティショー「メイクマネー U-24」でも、その類いまれなプレゼン力で、堀江貴文氏ら百戦錬磨の審査員の度肝を抜き、予定になかったプレゼンター賞を受賞したなど、年々活躍の場を広げている。
岸田内閣もスタートアップ支援強化を掲げるいま、レウォン氏のような若き起業家はどのようにして生まれたのだろうか。
レウォン氏のプレゼンのフルバージョン、また堀江貴文氏ら審査員からのフィードバックはこちらより視聴可能です。
「漢ミツ」ができるまで
「メイクマネー U-24」でレウォン氏がプレゼンした起業プランは、新しいスタイルの漢字ドリル「漢ミツ」。
「漢ミツ」とは「漢字mission」の略だ。
彼には「漢字ドリル」への強い苦手意識があり、学校から漢字ドリルを宿題として課されても全くやる気が出なかったという。
ただ、「だったら、自分自身でやる気の出る漢字ドリルを作ってみよう」と考え、実行したところが、その非凡なところだろう。
まずは自分が嫌いな漢字ドリルの分析から始めた。
小学生の苦手となる漢字ドリルのイノベーションを提案
書き出してみると、漢字学習において「画数」や「書き順」は重要ではなく、その漢字から「意味」を見いだしたり「熟語」や「例文」を作り出せることの方が、ずっと大事なのではないかと思えたという。
必要な項目が決まったら、今度はデザインを決めて「漢ミツ」の完成だ。
9マスノートを参考にしたという「漢ミツ」
この9マスの設計は、大谷翔平選手が高校時代につけていたことでも話題となった、「目標達成9マスノート」を参考にしたという。
「漢ミツ」の使い方は真ん中に学びたい漢字を入れて、その上のマスに意味、下のマスに部首と画数を入れる。
右側縦一列には、音読み、熟語、例文。左側縦一列には、訓読み、言葉、例文を入れる。
自分自身で実際に「漢ミツ」をやってみると、想像力が膨らみ「漢字ドリルとは違ってすごく楽しい!」と感じたという。
嫌いな漢字ドリルを見直し、オリジナルの「漢ミツ」を作成することで、漢字ドリルはとても親切でわかりやすい内容であることを知ったのと同時に、今まで受け身の学習をしていたことにも気が付いた。
自分から、知りたい、学びたいと思えるような「漢ミツ」はまさに、「アクティブ・ラーニング」の学習法と言えるだろう。
彼のミッションは「学びのソーシャルイノベーション」を起こすことだ。
ただ、既存の学校教育に馴染めず、小4から不登校になったということもあり、レウォン氏のここまでの道のりは順風満帆 ではなかったという。
幸せになるために
「人はなんのために生きているのかな、と考えたときに、僕は人は幸せになるために生きている気がしています」
これは、レウォン氏がメイクマネーの審査員も務めた、元マイクロソフト日本社長である、成毛眞氏からインタビューを受けた中で発したコメントだ。(「成毛眞 2040未来からの提言より」)
成毛氏との対談で「キラキラした大人になりたい。」と語るレウォン氏。
幼少期より、創意工夫することが何より好きだったレウォン氏には、旧来型の授業、すなわち「黒板を板書するだけ」「教科書を読むだけ」といった、詰め込み型の学習スタイルはフィットしなかった。
「学校は本来考える場所のはずなのに、自分で工夫して、教科書に書いていないやり方で問題を解いたら怒られた」
という経験もしたという。
次第に、学校から足は遠のいた。
ただ、そんな彼を母親や通っていた塾の先生は温かく見守った。
塾の先生は、不登校になったことを心配した母親に
「学校に行かなくていいんじゃない? レウォンは自分で学べる子だよ」
と声をかけたという。
「子供扱い」をせず、一人の人間として真剣に向き合ってくれる大人との出会いと、自らの発想を自由に形にできる環境を得たことで、その発想力と行動力は一気に解放された。
そこから、「元素カルタ」「漢ミツ」の開発へとつながっていく。
レウォン氏は、成毛氏との対談で
「キラキラした大人になりたい。キラキラした大人というのは、自分がやりたいと思う、楽しいと思える仕事を全力でやっている存在」
「自分が目標にしたいと思える大人が周囲にいれば、自分も自然と影響を受けてキラキラできそう」
と語る。
レウォン氏と成毛眞氏との対談のフルバージョンはこちらから視聴可能です。
自らの会社を設立
そんなレウォン氏もこの4月には中学1年生となった。
小学校の時と同様に、中学校に入っても、選択登校形態を取り、希望日のみ通学する形を取っている。
今年2月にレウォン氏は、自らの会社「polarewon」を設立した。
メイクマネーの際に審査員から「やりたいことを実現させるためには法人化するといい」と言われ、起業を決意したという。
彼の会社では、投資家の藤野英人氏や、ドラマ「下町ロケット」のモデルとなった植松努氏など、名だたる有識者を取締役員に据え、ことあるごとに事業についてメッセンジャーツールを用いて相談・報告している。
法人を立ち上げた彼はさらに歩みを強める。
事業をさらに進化させるため、いま取り組んでいるのは「漢ミツ」のデジタル化、スマホアプリ化だ。
時には、自らプレゼンテーションを提携先候補の社長にすることもある。
「我が子ですけれど、大人相手によくそんなに堂々と話せるな、と思います」と語る、レウォン氏の母
そんなレウォン氏を見て、彼の母親は
「我が子ですけれど、大人相手によくそんなに堂々と話せるな、と思います」
と目を細める。
レウォン氏は、圧倒的な若さを武器に、興味の赴くまま、奔放に自らの道を追求している。
既存の学校教育に馴染めずとも、自ら未来を切り開いたその姿は、多くの子供や保護者の励みになるだろう。
最後に、こどもの日に向けて、「既存の学校教育に馴染めずに、もやもやしている同世代に向けて、何かメッセージはありますか?」と聞いてみた。
レウォン氏は、
学校に馴染める人も馴染めない人もいていいと思うんです。
いろんな理由があると思うけど、学校が全てじゃないと思うんです。
ただ、自分のセンサーを大事に、違和感や疑問に蓋をしないで、素直に正直に向き合えれば良いなと思います。
考えることをあきらめないで、自分なりでいいから「い、い、や」をやってみる。
「言ってみる、行ってみる、やってみる」の頭文字。
まずはちょっと勇気を出して、誰かに自分の想いを伝える、言ってみるところから。
そして足を使って行ってみる。できることからやってみる。
失敗はつきものですが、僕は失敗はいやだから、「もちょ」って言葉を使ってます。
「失い敗ける」じゃなくて「もうちょっと」の「もちょ」。
チャレンジした分「もちょ」は生まれる。
大変だけど、自分発の、心から「何とかしたい」っていう想いがあれば、考えずにはいられなかったり、それがけっこう楽しく思えるようになったりします。
これを僕は「楽しんどい」って言ってます(笑)。
楽しければ続けられる。その先なにかときっと繋がる。
焦らないで、自分のペースで、自分らしく、みんながハッピーに進んで行ける。
そんな「い、い、や」と「もちょ」が流行る社会になればいいなと思います。
と返してくれた。
彼の成長は、社会そのものの成長と言えるかもしれない。
レウォン氏の最新の挑戦など、『メイクマネー U-24』に出場した若手起業家たちの"今"はこちらから視聴可能です。
構成:上田裕
デザイン:斉藤我空
デザイン:斉藤我空
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