2022/4/29

【ウクライナ発】ロシア軍から首都と村を守った「水没作戦」

INDEX
  • キーウを救った「大洪水」
  • 迷いなき「焦土作戦」
  • インフラ被害は総額11兆円
  • 「大した損失ではない」

キーウを救った「大洪水」

村人たちは、床からふやけたリノリウムをはがし、水没した地下室からジャガイモやピクルスの瓶を釣り上げている。ぐしょ濡れになったじゅうたんを干して、春の淡い日差しの中で乾かす。
ウクライナの首都キーウの北部にあるデミディウ村では、住民たちが大洪水の後始末に追われていた。
普通に考えれば、ロシアの侵攻を受けているさなかの人々にとって、追い打ちともいうべき不幸な出来事かもしれない。
しかし、この洪水は彼らの「戦略」によるものだった。
(David Guttenfelder)
ウクライナ側は、意図的にデミディウ村とその周辺の広大な畑や湿地を水没させ、泥沼へと変えた。これにより、戦車でキーウに攻め込もうとするロシア軍を阻止し、自軍が守りを固めるための貴重な時間を稼いだのだ。