2022/4/25

【激震】アメリカ分断の前線と化した「ディズニー」のピンチ

INDEX
  • 「夢の国」に忍び寄る現実
  • 「八方美人」が裏目に出る
  • 保守的で事なかれ主義の伝統
  • 流れを変えたカリスマCEO
  • 『ダンボ』もいまでは問題作
  • 左右両陣営に蹴られる「ボール」
  • 強大な影響力は「諸刃の剣」
  • 「針のむしろ」の株主総会

「夢の国」に忍び寄る現実

1923年の創業以来、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、基本的な一点において孤高の存在であり続けてきた。
デリケートな政治的・文化的問題に関わることをかたくなに避け、建前上は常に「万人」を対象に、ファミリー向けの映画やテレビ番組、アトラクションをつくってきたのだ。
星に願いをかけ、真実の愛を見つけ、末永く幸せに暮らしてこそディズニー。
アニメに出てくる魔法のお城で物足りないなら、「夢の国」ことテーマパークが現実逃避を約束してくれる。ゲートには「ここで今日にさよならし、昨日と明日とファンタジーの国にお入りください」というフレーズが掲げられている。
ところが最近、その「夢の国」に、現実世界の醜さがじわじわと忍び込んでいる。
ディズニーは世界で最も知られた企業のひとつであり、多くのアメリカ国民にとっては国を象徴する存在だ。
しかし、極端に分断されたいまのアメリカ社会で、エンタメ業界をも巻き込む目まぐるしい変化を乗り切ろうとするなか、ディズニーはいまや右派と左派の両勢力から袋だたきにされ、追い詰められている。
(Eve Edelheit/The New York Times)