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注目のコメント
原油そして天然ガスの制裁については、まだ始まってもいません。ドイツにしても、ロシアからの原油については、「8月までに半分減らし、年末までに全面停止」といっています。英国も、年末までの全面停止、が、基本方針です。
記事中のグラフのように、ヨーロッパ諸国ですら、ロシアからの原油の輸入を増やしています。(オランダは中継地点で、オランダの港からパイプラインでヨーロッパ各国に輸送されます)
もしヨーロッパ諸国が8月くらいになってから、本格的に原油の輸入を縮小しても、インドや中国は買います。
今のところ、ロシアは、制裁破りでごまかして輸出する必要さえない段階です。制裁は始まってもいないのですから。
もちろん、原油の輸入減少はあまりにも影響が大きい、ということはあります。ガソリンや灯油、ディーゼル燃料、発電だけではなく、プラスティック、アスファルトなど、あまりにも多岐の用途があります。「年末までに」といっているのも、無理はないし、それまでに代替を用意するのでも大変なことです。
制裁が始まっても、実質、ヨーロッパ諸国が買わないというだけなので、それ以外の国に輸出しても違法でも何でもありません。
米国が、イランにかけているような強力な制裁をロシアにもかけて、ロシアと取引した国にも制裁をかける、と決定して周知するなら、また別ですが。経済制裁が、制裁対象国の経済に一定の打撃を与えることは確かですが、決定打、すなわちその国の政策を変更させるという目標達成につながらないのは、この記事にあるとおり、さまざまな抜け穴があり、時間が経てば経つほどこの穴が大きくなっていくからです。
世界中でいろんな制裁がかけられていますが、「制裁逃れ」のノウハウも同じように向上していきます。ロシアが国家をあげてさらに巧妙な制裁逃れをしていくでしょうから、取り締まりは容易ではないと思います。
安い原油があれば常に買い手は出てきます。タンカーの中には確かに目的地不明として出すときがあります。船上にいるときに契約成立と出来ないと、タンカーで運ぶのにも日数がかかるからです。
その横で、不明なものとは不明なだけの理由があり、制裁対象国等の事例はその最たるものです。少なくとも公海では取り締まりが出来るわけでは無いので、そこで積み荷を変えるなどの措置はよくあることです。
ここで押さえておくべきこととして、産地を変えるのには2つの場合があるということです。1つはFTAやEPAなど貿易協定への適合性を偽装するため。だからこそ通常はこれを阻止するために原産国表示を課します。
もう1つは制裁国の対象から逃れるため。ここで押さえて置かなければならないものとして、通常は最恵国待遇MFNなどから、そこまでチェックが厳格には出来ないということです。今回、ロシアは最恵国待遇から外すということを西側諸国の一部は行っていますが、あくまで制裁対象と出来るのはロシア産と分かったとき、という側面があります。出所不明のものは抜け穴になっていないか調べるわけですが、最恵国待遇の対象になっている国の産地となっている場合、FTAやEPAを使わないなら、軍民両用のものとかは確かに輸出面では調べますが、輸入面では調べることは出来ない側面が最恵国待遇にはあります。それは輸出してくれた相手を最恵国待遇と扱わないことになるからです。
そのため、船上でラベルを貼り替える措置の手間を考えても、割安になったロシア産という表示を消しての販売は充分賄えます。
全面禁輸の場合は怪しい場合に調べるなどの措置を取れるのですが、今回は全面禁輸ではないので、それも困難です。但し、仮に調べられるのもロシア産の石油の成分が他と微妙に異なる場合だけで、混ぜられてしまうと恐らく対処は困難になります。
最恵国待遇を守りながらの検査では全ての国からの原油の輸入分を検査する必要があります。ガソリン価格高騰が報じられているときに検査待ちの石油タンカーが港で並んでいる形になって報じられてしまうと、結構問題にはなる、という点も押さえておく必要があります。
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