2022/3/11

【社会システム論】「機能不全」の日本を立て直す方法

NewsPicks編集部
まるで予言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、大学院大学至善館の理事長・学長を務める、経営学者の野田智義氏だ。
至善館は、「変革と創造を牽引できる経営プロフェッショナルとしてのスキルを持ちながら、人間性と社会性を兼ね備えた全人格リーダー」の育成を目指す、最先端の教育機関(ビジネススクール)だ。そのカリキュラムの中核を成す、リベラルアーツの講義を書籍化した「至善館講義シリーズ」(光文社)が、このたび始動した。
第1弾となる『経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来』は、野田氏と社会学者・宮台真司氏の共著だ。
同書を通じて野田氏と宮台氏は、「安心・安全・快適なのに、なぜか生きづらい現代日本社会」に疑問を投げかけ、社会を荒廃させている構造的問題を解き明かしている。
いまの社会は、市場と行政に依存した「システムの世界」に支えられている。しかし、「システムの世界の全域化」は、人の感情を劣化させ、社会の統治の前提となっていた「個人の主体性」や「他者に対するシンパシー」を失わせ、「統治コスト」を増大させている。その結果、いまや社会は機能不全に陥っている──と。
この状況をどうすれば立て直すことができるのか? そのビジョンこそが、次世代のリーダーたちにいま、求められるものだと野田氏らは呼びかける。
前編では、同書でひもとかれている社会システム理論のエッセンスを紹介した。
この後編では、野田氏へのインタビューを通じて、社会に「人間らしさ」を取り戻し、より幸せな社会を実現するためのポイントを改めて掘り下げていこう。
INDEX
  • 元ストリートチルドレンとの対話
  • 「ひとりで生きられる」という勘違い
  • 人間性をテックに組み込む
  • 自然が「つながり」を呼び覚ます
  • いま「教育」が果たすべき役割