2022/1/23

【新潮流】芸術と理系の組み合わせ。アートサイエンスって何?

Podcast Studio Chronicle 代表
近年、アート界で注目されている動きがある。「アートサイエンス」だ。
アートの知見とサイエンスの知見を組み合わせながら制作する手法のことで、バイオアーティストの福原志保氏、メディアアーティストの市原えつこ氏らが、そのジャンルで先頭を走る。
2017年には、大阪芸術大学に「アートサイエンス学科」が設立され、芸術の世界と科学の世界が融合し始めたと話題になった。
なぜ今、2つの世界は融合しつつあるのか。理系の知を芸術に活かすことで、どのような表現可能性が見えてくるのか。
アートサイエンスを伝えるウェブマガジン『Bound Baw』を主宰する塚田有那氏に、この新潮流の全貌を聞いた。
INDEX
  • 片方だけでは解けない問いと向き合う
  • 元々アートとサイエンスは一体だった
  • 「たこつぼ化」で見えなくなったもの
  • コロナとワクチンが浮き彫りにしたもの
  • より理解したい人のために
塚田有那(つかだ・ありな)
世界のアートサイエンスを伝えるメディア『Bound Baw』編集長。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。12年より、東京エレクトロン「solaé art gallery project」のアートキュレーターを務める。16年より、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム(HITE)」のメディア戦略を担当。近著に『RE-END 死から問うテクノロジーと社会』『ART SCIENCE is. アートサイエンスが導く世界の変容』(ビー・エヌ・エヌ)などがある。

片方だけでは解けない問いと向き合う

──まずは「アートサイエンス」とはどのようなものか、塚田さんの見解をお聞かせください。
塚田 現代は学術的に「異分野融合」が注目されるなど、他領域と接することで新たなものを生み出すことが求められています。