2022/1/12

【濱口竜介】NewsPicksに語っていた「名作」の作り方

NewsPicks編集部
2022年1月9日(現地)、アカデミー賞の前哨戦である米ゴールデングローブ賞が発表され、非英語映画賞に濱口竜介監督(43)の映画『ドライブ・マイ・カー』が選ばれた。
邦画の同賞受賞は、1959年の市川昆監督『鍵」以来、62年ぶりとなる。
さらにその前日8日(現地)に発表された全米批評家協会賞では、『ドライブ・マイ・カー』が作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の両作品に対して)、脚本賞、そして西島秀俊(50)がアジア人初の主演男優賞と、主要4部門を受賞している。
3月に発表される米アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)部門の、授賞対象を15作品に絞り込んだリストにも『ドライブ・マイ・カー』は入っており、今後発表されるノミネート入りが期待されている。
この作品を作った濱口竜介監督は、昨年7月のカンヌ国際映画祭で、『ドライブ・マイ・カー』が日本映画初の脚本賞など4冠を達成したほか、昨年春のベルリン国際映画祭では、初の短編オムニバス『偶然と想像』が銀熊賞に選ばれている。
さらにさかのぼれば、一昨年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に選ばれた黒沢清監督(66)の『スパイの妻』にも参加。濱口監督はこの3作全てで脚本に関わっている。
今年最も世界からの注目を集める濱口監督のインタビューをNewsPicksは昨年掲載している。このタイミングに濱口竜介監督への独占インタビューを再掲する。
監督・脚本を一人で担当した3つの短編映画をまとめた『偶然と想像』は12月17日に国内で公開。この機会に、濱口監督の映画作りについて聞いた。
INDEX
  • 脚本作りで重要視していること
  • 俳優の「本読み」
  • 「どうやってこの作品が?」を作る
  • 「フィクション」との向き合い方
  • 短編はリスクが取りやすい
  • 「偶然」をいかに起こすか

脚本作りで重要視していること

──国際映画祭で受賞した作品において、共同脚本の『スパイの妻』も含めて、すべて脚本を手がけられています。脚本はどのように作っているのですか。