イングランドは今冬にコロナ死者7万5000人の恐れ-英研究
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オミクロンの流行する南アフリカでは、入院患者の約3割が重症化していると報告されています。これは、6割が重症化していたとされるデルタの流行期と比較して数値としては良い傾向かもしれませんが、割合が改善しても感染がそれを上回る勢いで広がってしまえば、分母が増える分、分子が増加し、結果として大きな被害を被ることになります。
日本では、mRNAワクチンを比較的最近接種した人も多く、3回目接種もはじまっていること、マスクの装着率も非常に高いことなどから、英国や米国の試算のような状況にはなりにくいと想像されますが、英国や米国では「下手をすれば」昨年より厳しい状況になることも想定しなければならないかもしれません。
しかし、データが比較的限定される状況で、このようなモデリング研究もまだまだ限界の大きいものであり、時間とともにより洗練され、より現実に近いものになってくると思います。Our Word in Dataで定点データ観測。
感染者数について、欧州がともかく大きい。下記は100万人あたりの感染者数の移動平均。イギリスが夏から恒常的に高いが、フランスとドイツも11月くらいから急増(ただ直近は一回下落、今後どうなるか)。
他にはロシアは毎回山が高くなっている。あとオミクロンが発見された南アではあるが、まだ過去3回のピークの山のうち、最初の山より高いが、それ以外は超えていない。
https://bit.ly/3ykr3Mr
100万人あたりの死者数は、ドイツが急速に上がっているが、イギリスやアメリカは意外と安定的な推移。南アフリカも同様。ロシアだけジワジワ上がってきている。
https://bit.ly/3DR11RQ
ワクチンについてはFully Vaccinatedは日本が圧倒的で8割近い。さすがに最近はカーブが寝てきたが…
https://bit.ly/3DH5yX6
※多少国は変えているが、10月後半時点でおなじようなことをやり、その際のコメントは下記。
https://newspicks.com/news/6293509研究所からのリリースとプレプリントはこちら。
https://www.lshtm.ac.uk/newsevents/news/2021/modelling-potential-impact-omicron-england
今回発表を行ったのは英国のコロナ対策の政策決定にあたり科学的提言を行うSageという諮問会議や予想モデルを提供するSpi-Mというグループのメンバーも含むチームです。
この研究はGuardian等の英国メディアでも報じられていますが、それらの報道での専門家のコメントやプレプリントでも明言されているように、このモデリングではデータが不足しているためオミクロン株の重症度はデルタ株と同程度という重要な仮定を置いています。よくある抄訳の問題かと思いきやBloombergの元記事にもその点に関する言及が無いのはちとどうだろう。
ともあれ発表中でも述べられているように、オミクロン株に関するデータの不足や今後の政策決定などに伴う不確定要素を大いに含む予測であり、今後のデータの拡充に伴って改善されていくのだと思います。