2021/12/5

高級ファッション市場を荒らす「グレーマーケット」の破壊力

INDEX
  • 表舞台に躍り出た「グレー」な市場
  • 地域間の価格差で「激安」を実現
  • 「警戒モード」に転じるブランド勢
  • 株式市場を騒がせる「風雲児」
  • 最新の売れ筋アイテムが24%オフ
  • 崩れゆく「独占販売」の壁
  • 「お買い得」へのニーズは消えず

表舞台に躍り出た「グレー」な市場

あなたがこの夏、最も人気の高いハイブランドのひとつ、ボッテガ・ヴェネタのつま先が四角いスライドサンダルをオンラインで探していたとしよう。
新シーズンのモデルは、同ブランドのウェブサイトや、ニーマン・マーカスのような百貨店、または「ネッタポルテ(Net-a-Porter)」のようなオンライン通販サイトでは、550ドル以上で売られていた。
しかし、最新のファッションアイテムを30%オフで提供する通販サイト「セタイア(Cettire)」で購入すればどうだろう?
あなたは数十億ドル規模の「高級“グレー”マーケット」の参加者となる。これは従来、大半の一般消費者の目につかないところで運営されてきた販売セクターだ。そして現在、急成長を遂げている。
2020年末にオーストラリア証券取引所に上場したイタリアの「バルティニ(Baltini)」、米国の「イタリスト(Italist)」、そして前出のセタイアなど、複数の企業が相次いで市場に参入したため、グレーマーケットの取引量は膨大な数に膨れ上がっている。
闇市場でよく見られる違法な偽造品とは異なり、グレーマーケットでは本物の高級品が販売されている。だが価格はかなり値引きされており(通常は15%から35%)、製造元のブランドから正規に流通しているものではない。
(gerenme/Getty Images)

地域間の価格差で「激安」を実現