[北京 3日 ロイター] - トヨタ自動車が、価格を抑えた小型セダンの電気自動車(EV)を中国市場に来年投入することが分かった。合弁相手の中国EVメーカー、比亜迪股分有限公司(BYD)と協業し、課題としてきた電池の小型化とEVの低コスト化を実現した。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。

新型EVは「カローラ」よりやや大きく、中国向けの専用車となる。来年4月の北京モーターショーでコンセプトモデルを披露し、2022年末までに発売する。トヨタはEV専用車台を使った新たなブランド「bZ」を立ち上げており、中国市場では同シリーズ2車種目の投入となる見通し。

関係者2人によると、価格は20万元(3万ドル、350万円)を下回る見込み。米テスラの「モデルY」や中国ニオの「ES6」といった高級車セグメントより下の価格帯だが、中国国内で最も売れている超格安の「宏光ミニEV」よりはずっと高額で、2年以内の発売がうわさされるテスラの新たな小型車などと競合する可能性がある。

トヨタ広報はロイターの問い合わせに対し、「将来の商品についてはコメントできない」とした上で、「カーボンニュートラル(脱炭素化)に向けた1つの有力な手段としてバッテリーEVに注目し、開発に取り組んでいる」と回答した。

トヨタはEVの普及には小型かつ快適性を犠牲にしない車が必要と考えてきた。EVの多くは重くかさばる電池を床下に置くためフロアが高くなり、小型車では車内に十分な空間を確保するのが難しかったが、BYDが開発した薄型のリチウムイオン電池の技術を使うことでデザインに柔軟性が生まれた。

トヨタの関係者の1人はBYDの電池について「小型EVを作ることの難しさを解消してくれる技術」と説明。「目からうろこの技術で、最初から否定してしまいそうな構造だったが、いろいろ評価をやってみても問題は出なかった」と話す。

BYDの広報はロイターの問い合わせにコメントを拒否した。

トヨタはbZシリーズの第一弾として、22年に中型SUV(スポーツ多目的車)「bZ4X」の投入を計画している。

トヨタとBYDは19年にEV分野で共同研究を進めることで合意。20年4月に折半出資で広東省深セン市に合弁会社を設立した。

(白水徳彦 編集:久保信博、田中志保)