2021/10/27
【宇野常寛】都市を「もの」の視点から眺めてみよう
今年9月に創刊された新雑誌『モノノメ』。
評論家の宇野常寛氏が編集長となり、クラウドファンディングを通じた支援などを活動資金として創刊された。
宇野氏はかねて、今のインターネット社会の問題点を指摘する。
誰もがSNSのタイムラインの潮目を読むことに必死になり、シェアされるニュースに賛成/反対のどちらを表明すれば、注目が集まるかだけを考えている。そうした状況下では、実のある議論はできないという。
そんな問題意識に基づき、『モノノメ』は「検索では届かない」をコンセプトにした記事が並ぶ。
創刊号の特集として宇野氏が選んだのは「都市論」。なぜ今、都市に注目することが重要なのか。我々が見落としている、都市の側面とは何か。
宇野氏の頭の中を、存分に披露してもらった。
INDEX
- 昨今の都市論に欠落しているもの
- 「人の目」から離れると何が見えるか
- 効率、正義、儲け話のコスパがいい時代
- 「ただ、そこにいる」が尊重される世界
- 「飲まない」から始まる都市生活
- だから「雑誌」を選択した
昨今の都市論に欠落しているもの
──『モノノメ』創刊号の特集は「『都市』の再設定」ですが、宇野さんはかねて、現在の都市論に関する問題点を指摘しています。
宇野 ここしばらく都市について考えるとき、大きな流れが二つあったと思います。
一つが、グローバルな都市間競争での勝利を目指して、大都市の開発を考えるというものです。