【NEC】不振の大企業は「ファイナンス」で復活せよ
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- 昭和の名残「バンクガバナンス」
- 企業改革はファイナンスから
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技術で勝って、ファイナンスで負ける...
いくら技術的に日本企業で先行していても、投資競争に負け、研究開発費でも差が開いていき、少しずつ引き離されていく...エレクトロニクス産業(とりわけディスプレイと半導体)では、たびたびそのような負け戦の「型」が、日本にはあったと思われます。
そのような企業の過去10〜20年の財務(キャッシュフロー)推移を見ると、赤字転落こそなっていないものの、営業キャッシュフローと投資キャッシュフロー(のマイナス幅)の双方が徐々に減少していき、ペリカンのくちばしのようになってしまっています。
ダイエットのために食事制限していたら、筋肉がごっそりと落ちてしまい、さらに食事を減らさないとリバウンドしてしまうような、大変よろしくない状況です。
そんな中で、過去2年で鳥のくちばしの状況からの反転攻勢がうかがえるNEC。その真相について、プロピッカーであり、同社の海外ビジネス部門CFOの青山さんにインタビューしました。
ファイナンスがどの様に企業変革や戦略策定・実行に寄与するのか、丁寧に記事にまとめてもらいました。PLだけを見ていたらどういったリスクに陥るのか、またどのような機会を失うのか、具体的な事例を挙げて説明しました。ファイナンスのプロフェッショナルだけでなく、経営陣の皆さま、今後起業を考えている方にも読んでもらえたらと思います。
非常に失礼ながらNECは長年(ファイナンス的にも)ダメな経営をしていました(注:個人的にも長年担当していたので森田CEO含めよく存じ上げていますのでその苦悩も存じ上げています)、その分だけこの記事に書いてあることは日本企業の実態を表しており、NECほどの名門大企業ですら今となっては当たり前のことができていなかったことを示しています。
個人的にはこの記事(NECの事例)における企業経営におけるファイナンス戦略のポイントは以下の7点かなと思います。
1)企業価値経営(将来キャッシュフロー価値経営)
2)事業セグメントの切り方一つで見えていない贅肉(赤字要因)が浮かび上がる
3)明確な撤退基準を設けたポートフォリオ管理と資産配分(含む人的資本)
4)CCCの最適化による事業キャッシュの創出
5)資本効率の管理
6)感覚的議論ではなく定量的議論を徹底することでのガバナンス強化
7)バンクガバナンスではなく企業側が意思を持った最適資本構成の追求
ファイナンスもそうですが、例えば「日本」と「海外」の業績を一緒にしているとか、赤字事業にエース人材を投入する(資源配分の大切さがわかっていない)とか、そもそもの基本ができていないことに驚きます。NECって技術力のある大企業と思っていました(25年前はアメリカのビジネススクールでも「C&Cというビジョンはすごい」なんて取り上げられていました)が、経営に関しては失礼ながら素人だったのですね。失われた10年とか20年とかって、バブルや景気のせいにされることが多いですが、そういう要素も大きいのかと気づきました。
ちなみにカルプ現CEOによると「GEはファイナンスで会社を回しすぎてダメになった」。過ぎたるは及ばざるがごとし。熊谷さんがいらっしゃるので大丈夫と思いますが。
注:C&C=Computer & Communication (カレーではありません)
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