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実は私、2015~2016年度にTPPを取材しておりました。
遅々として進まない交渉が一気に加速して大筋合意に至る2015年度、米国トランプ政権の発足により一転してTPP離脱という逆流が起きたのが2016年度。その意味で幸運なタイミングでした。

とかく通商交渉は、政治的な得点よりも「失点」につながるケースがあり、日本では農業に配慮しないと次の選挙で与党議員が落選の憂き目に遭う、米国でも自動車産業など製造業が盛んな地域の議員がTPPによって足を引っ張られる、といった事態を目の当たりにしてきました。

つまり、経済学で言うところの「資源の最適配分(パレート最適)」やら、デービッド・リカードの「比較優位」では説明不可能な世界。ドロドロの国内政治の世界を見ないと話にならない。
加えて、ある国への対抗意識メラメラの「敵の敵は友」のような国際政治の力学も強烈に働くことを痛感しました。

さて、私が通商を取材していた2015年度はじめは、韓国などと比べて、日本は通商協定で大きく遅れている国という位置づけでした。
ところが、「ブレグジット」や米国のTPP離脱を含む「逆噴射」が起こる中、「日EU・EPA」発効にもこぎつけた日本は、いつの間にか通商協定の世界で先頭集団の一角にいるという展開です。日本における通商協定の役割が高まる一方です。実際に中台のTPP参加に関する関心の高さを示していただいた皆さまのコメントはこちら
https://newspicks.com/news/6194986?ref=search&ref_q=tpp&ref_t=top
https://newspicks.com/news/6209271?ref=search&ref_q=tpp&ref_t=top
日本の農業が崩壊するとかしないとか議論がかまびすしかったTPP
アメリカ離脱も影響してか2018年の発効後
農業界でも「そんなこともあったね」ぐらいで話題に上ることも無くなりました。結果的に即自的な影響は軽微だったということでしょう。

一方であの数年間、「日本の農業が危ない」というメッセージが各方面から放たれていた影響はある意味プラスに働いたのかもしれないと思うのが
下記の2017年「食品を選択する際に重視すること」統計。

順番は上から 鮮度、価格、安全性、国産
となっており、平均値だとわかりづらいのですが女性と男性で大きく格差があり、女性の場合 鮮度76% 価格70% 安全性64% 国産64%となっています。
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/ishiki/h29/zuhyou/z2-6.html

総合するともちろん価格は大事だが、鮮度、安全性、そして国産を選ぶということで結果的に日本の消費者は日本の農産物を選ぶ可能性が高いという結果になっているといえるでしょう。ファストフード店でも国産使ってますアピールをよく見ます。

もちろんこれだけの情報でそれを紐づけするのは乱暴だとは思いますが
農業現場であの騒動を見ていた立場からすると「外敵来襲!」というイメージが拡散したことで団結し注目を集めることにはつながったのではないかと思う次第です。
今、TPPが注目されるべき理由、それは、中国の経済が持つ特徴が際立って異なっている、ということが重要になったからでしょう。中国における国家と経済の関係が、米国などとは異なっている、ということですが、そのことがアジア太平洋地域で持つ意味がどんどん大きくなっています。
 国家と経済の関係が米国と異なるのは、決して中国だけではなく、カンボジア、ラオス、ミャンマーは明らかに中国側です。ベトナムも、本当はかなり微妙なところです。マレーシアも、米国というよりは中国寄りでしょう。
 TPP(環太平洋パートナーシップ )がCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)という新しい名称になったのは、2016年に米国が撤退し、その後残った国で2018年に協定に署名した時からです。
 米国だけではなく、カナダも2017年には離脱しています。カナダは、国内のフランス語を話す少数派の特別な地位がTPPで失われるのは受け入れられない、という理由でしたが、そんなことをいえば、マレーシアなどは絶対に加盟は無理です。
 TPPはもともと、貿易、投資、そして非関税障壁のサービスまでルールを共有しようというもので、無理があるくらい野心的でした。主導者の米国が撤退したくらいで、トランプ政権の特殊性によるものとも見られていましたが、バイデン政権になっても復帰の見通しは立ちません。
 今のCPTPPは、日本、オーストラリアが主導といえば主導の立場ですが、主導力にも積極性にも欠けています。日本国内にCPTPPを熱望するだけの世論があるかというと、そうでもないでしょう。
 TPPで提示されたような貿易、投資、サービスのルールを呑みたいような国がどれだけあるのか、本当に積極的なのは、シンガポールと台湾くらいではないでしょうか。
 ここにきて、中国が加盟しようとするのは、ひっかき回すだけの結果に終わるかもしれないし、CPTPPが骨抜きにされるかもしれません。しかし、それを受け入れかねない素地がCPTPP加盟国にあるともいえます。TPPは、本来は米国の力業であり、米国が協力に推し進めれば成り立つかもしれない、というような構想でした。
TPPは良いのですが、参加する以上は国家としてグローバルな目標にもしっかり賛同しコミットしてもらう必要があると思います。脱炭素、気候問題、等々サステナビリティにも無関心では困ります。そうしなければ単なる旧来型の資本主義の産物が各国に蔓延るインフラになり兼ねません。
中国は米国がいないTPPに参加することにより、主導権を握ろうとしている。台湾は中国に先を越されるとTPPに参加できなくなるというエッジに立っています。

TPPの経済ルールが今は時代遅れになっているとのこと。特にパンデミックで世界情勢は大きく変わりました。誰が、新たなルールづくりを行うのか。日本にその役割を担って欲しいものですね。
特集記事の読後感想。サーバの国内設置の強制禁止や、データの自由な国境移転を求めているのがTPP。中国はこのまま受諾するはずがない。中国は「中国を参加国に入れるためにTPPの中身を修正しようという意見が内部から出てくること」を計算して参加申請をしたのではないかと勘繰りたくなる。
平岡氏が仰るように、通商交渉は経済の領域であると同時に政治の領域でもあるので、両者を最大公約数的に満たさないと難しい。経済的には中国の参加はウェルカムでも、政治的に各国が合意できるとは思えないが。。。
バイデン政権は発足以前には第3期オバマ政権になるといった言われ方もしましたが、こと通商については、オバマ3.0というより、トランプ2.0なのではないかと感じさせることも多く、TPPへの対応もその1つに見えます。もちろん、米国が置かれた国内状況からの要請を踏まえれば、TPPへの復帰、もしくは再交渉の意向を示すことですら、オバマ3.0でもどの政権でも簡単ではないとも思います。ましてや、2022年には中間選挙もあります。

中国も、この辺の米国の事情を十分に把握し、自国のTPP加盟(申請)に追い風だと判断し、準備を進めてきたのだと思います。
改めてTPPというものがどういったものか、を理解するのに役立ちました。
そもそもアメリカが対中の枠として作ったのに中国台湾が入ってきている状況。
今後どのような機関として動いていくのか注目ですね。
この連載について
今、知りたい注目のニュースの真相から全体像まで、やさしく徹底解説。プロピッカーや有識者による対談、オピニオン寄稿、直撃インタビューなどでお届けする、NewsPicks編集部のオリジナルニュース連載。