【解説】「参入障壁」が分かれば、長期投資は成功する
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「ブルーオーシャン戦略」(チャン・キム、レネ・モボルニュ著)という大変有名な本があります。
要は、限られたパイの過当競争によって血まみれの戦いとなる「レッドオーシャン」ではなく、誰も注目していないがゆえにライバル不在の「碧い海」へと打って出る。
これは、とても分かりやすい考えで、書籍はもちろん、ハーバード・ビジネスレビューの特集も読みました。ただ、よく読むと...
新市場をいかにして開拓するかより、参入障壁をいかにして構築するかについてより大きなボリュームが割かれているのが印象的でした。
それもそのはず。
その後の取材経験を通じ、儲かる市場は、「ゴールドラッシュ」のようにプレイヤーが殺到して、瞬く間に海面の色が赤く染まるのだと、認識しました。
よくよく考えてみたら、私自身もニーズがあるかどうかよりも、「他の記者がやりたがらないであろう」ことばかりを追求してきました。
テクノロジーの中でももっとも敷居が高い半導体、重要だけど地味すぎるコーポレート・ガバナンス、理論と実践の両方で土地勘が必要なファイナンス、などなど。
そう考えると、需要が多い少ないよりも、供給(競争相手)が少ないという希少性が重要。これは、個人のキャリアを考えるうえでも共通していると思います。奥野氏の記事としては以前あった「優位性が重要」という記事がとても良いもので、そちらと通じる内容ですね
https://newspicks.com/news/5538648
上記の記事でも紹介した、みさき投資中神さんの「三位一体の経営」においても、参入障壁の重要さを指摘していて、障壁を作るには「呆れるほどのコストを投入する」か「腰を抜かすほどのリスクをとる」かのどちらか、という表現があります。このあたりは、楠先生のストーリーとしての競争戦略で触れられている他者から見て「一見非合理」な手を打つという表現にも通じるものと思います14年前に本を書いたときにはマイナーだった「スイッチングコスト」に言及される方が増えてきたのは喜ばしい限り。5Fも参入障壁も規模の経済も経営理論とは言えないですが、現状の戦場を理解し施策を考える助けになる有益なコンセプトだと思います。