【ダイキン会長】人を大切にするリーダーが、まずやっていること
以降、目覚ましい海外事業の拡大によって、1割以下だった海外売上高比率を8割にまで高め、2021年度の売上高は2.8兆円と、1994年度比7倍となる見込みだ。
多くの日本の大企業が伸び悩んできた過去30年で、むしろ飛躍を遂げたダイキン。
この間、経営トップを担ってきた井上氏は「人を基軸においた経営」を意識してきた。どのような原体験を経て、リーダーシップを確立していったのだろうか。(全7回)
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【備忘メモ】
どのリーダーも、「人がなによりも大切です」と明言します。
しかし、実際にリーダーがメンバー一人一人に深い関心を持っているでしょうか。さらには、その人の価値観や置かれている境遇などを、深く理解しているでしょうか。
組織とは「感情の体系」です。その時々のメンバーの感情次第で、組織の成果は大きく変わります。
ああ、その通りだとうなづきながら、もう一つの感動したストーリーを思い出します。ネルソン・マンデラ氏が、大統領に就任した式典祝賀会で、自身の隣の席を二つ空けてあったそう。祝賀会には全世界の錚々たるリーダー達がいる中、この2席にマンデラ氏が呼んだのは、無名で華やかな祝賀会に相応しくなさそうな出立ち男性2人でした。会場の参加者はざわめいたそうです。
この2人は、なんとネルソン氏が27年間獄中生活で、時には彼へ拷問を担当していた刑務所の職員。長年自分を傷みつける相手を最初は心底憎んでいたが、きっと彼らにも自分を同じように大切な家族がいるのだろうと、心が何度も折れながらも途中から彼らを憎むことをやめ、彼らをもっと知ろうと思ったそうです。
最初は疑心暗鬼だった彼らも、年月と共に最後にはネルソン氏に心を開き 自分たちの家族のことを話始めると、彼らもネルソン氏に対して興味がわいたそう。そして、最終的にネルソン氏が獄中から解放される運動の大きなきっかけの一つを2人が作ったそうです。
「壮絶な相手にまで自ら心を開く」ことで、最終的には自分にプラスに返ってくる。スケール違えど、嫌な相手にどう向き合い、どうチャンスに変えるかは、自分次第だと時折このストーリーを思い返します。
自分でも心がけてはいるつもりですが「人を知る」ことの深さ、難しさ、そして大切さを改めて感じます。今はやりのダイバーシティでもそうですが、自分と意見の違うこと、場合によってはウマの合わない人と違いを活かすからこそシナジーが生まれるとすれば、単に「人が好き」かどうかという生得の性格だけでなく、「人を活かすにはどうしたらいいか」について成功や失敗経験を通じて、自分なりのアプローチを磨いていくことが重要なんだと思いました。
巷では、「ダイバーシティ&インクルージョン」というフレーズがよく言われていますが、そもそもメンバー同士が互いを深くし知らなければ、いくら多様な人材がいても、インクルージョンは実現できないと思います。
特に、目の前の仕事話、逆に、昨日何を食べたかのような世間話に終始し、「その人のことを知る」ためのコミュニケーションがおざなりになっている点は盲点かと思っています。
その点、井上さんの書籍「人を知り、心を動かす」にて、「リーダーはメンバーに関心を持っていますか」という問いかけに、ハッとさせられました。
ちなみに課長・島耕作ならぬ、課長・井上礼之は、課長という立場ながら、その「斜め上」の人脈を駆使して、役員会の内容を把握していたそうです。それを大声で「ここだけの話やけど」と言いながら、課のメンバーに打ち明けていたとか。
経営情報をシェアすることは、企業がどのような状況に置かれていて、何を優先しているのかなどが分かるため、組織のパフォーマンスが高くなるとされています。井上さんは、そのような情報共有の重要性を深く理解していたのかもしれません。
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