2021/6/24

今のビジネスに必要なのは、「社会」を変えるイノベーションだ

University of Tokyo Director
INDEX
  • ビジネスも「社会」を中心に考える
  • すごい技術が「定着」しない理由
  • まず「インパクト」から始めよ
  • 「ソーシャルセクター」の手法に学べ
  • 「納得感」を醸成する
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、東京大学産学協創推進本部FoundXディレクターを務める馬田隆明氏だ。
近著『未来を実装する』(英治出版)の序章で、馬田氏は次のように述べている。
今の日本に必要なのは、注目されがちな「テクノロジー」のイノベーションではなく、むしろ「社会の変え方」のイノベーションではないか。
この10年間、AI、IoT、ビッグデータなどを活用した製品やサービスが次々に登場し、様々な消費活動や生産活動がデジタルの領域で行われるようになった。
しかし、これはまだ「序章」にすぎない。2020年代は、デジタル技術がより「社会へと浸透」していく時代になる。
そうなると、これまでのように「優れた技術ならみんなが使ってくれる」という牧歌的な時代ではなくなるだろう。
影響力が大きくなった分、新しいデジタル技術が普及するには、既存の法律や社会規範との調和を図りながら、社会の共感や納得感を得るというプロセスが欠かせなくなっていく。
『未来を実装する』は、このような「テクノロジーの社会実装」の方法論を体系的にひもといた1冊だ。
テクノロジーの社会実装とは、テクノロジーの力で社会を変えようとする営みであると同時に、「社会の仕組みを変えることによってテクノロジーが活用される社会を作り出す営み」であると馬田氏は言う。
その考え方は、新しい技術を使ったサービスの開発や運用に携わる人、ないしは職場に新しい技術を導入しようとしている人など、幅広い層の人々にとって「必修」となっていくに違いない。
今週の「The Prophet」では、明日の馬田氏のインタビューも踏まえて、前後編で同書のエッセンスを紹介していこう。

ビジネスも「社会」を中心に考える