[ロンドン 10日 ロイター] - バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)は10日、暗号資産(仮想通貨)の規制案を公表した。銀行がビットコインを保有する場合、損失が出た際に全額を埋め合わせるだけの資本を蓄えなければならないとした。「保守的」な対策を取ることで大手銀行が仮想通貨を広範に使用することを抑制する可能性がある。

世界の主要な国・地域の金融当局から成るバーゼル委が暗号資産の規制を公表するのは初めて。協議書で、銀行の暗号資産へのエクスポージャーは限られているものの、拡大し続けていることから、資本要件を導入しなければ、詐欺やサイバー攻撃、資金洗浄(マネーロンダリング)を通して、世界の金融安定へのリスクが増す可能性があると指摘した。

ビットコインなどの仮想通貨の世界規模は約1兆6000億ドル。銀行が保有する融資やデリバティブ、その他の資産と比べると依然として少ない。

規制案では、銀行は保有するさまざまな資産のリスクを測定し、合算する。それに応じて全体の資本要件が決まる。

バーゼル委は、暗号資産を2グループに分けることを提案。1つ目は、トークン化された伝統的資産とステーブルコイン。これらは債券や融資、預り金、株式と同様に既存の規制が適用される。リスクウエートは0%から、高いものは1250%もしくは資産価値の全額となる。

ステーブルコインや第1グループの暗号資産は、伝統的資産を裏付けとしている。米フェイスブックの「ディエム」はドルを裏付けとする。

第2のグループは、ビットコインなどの暗号通貨で、新たな「保守的で慎重な扱い」が必要となる。「特有のリスク」があるため、リスクウエートは1250%とする。ビットコインは資産に裏付けられていない。

バーゼル委は、暗号資産が急速に展開していることを踏まえると、最終規制を公表する前に、資本要件についてさらなる公の協議を設ける可能性が高いとした。中央銀中のデジタル通貨は規制の対象となっていない。