2021/6/8

【現地発】通勤圏外に希望者殺到。「ネオ住宅ブーム」最前線

INDEX
  • 白熱する「ZOOM抽選会」
  • 住宅市場のゲームチェンジャー
  • 環境負荷への懸念も
  • 都市を脱出した人は戻らない
  • テーマパークから計画都市へ
  • 住宅供給が追いつかない

白熱する「ZOOM抽選会」

頭金もあるし、住宅ローンの審査も通った。今の自宅から車で東へ1時間ほどの場所へ引っ越す準備は万端だ。だが、そのためには「32」という数字が必要だった。
モデルハウスのアイランド型キッチンに立っているスタッフが、32番のビンゴボールさえ引けば、その66万2000ドルの物件は、エリック・ナマヤンとジェズレリーン夫妻のものになる。
場所はカリフォルニア州セントラルバレー。13の人工湖を囲むようにして作られた計画コミュニティ「リバー・アイランズ」に、その寝室5部屋の物件は建つ。
32番が出なければ、この物件はナマヤン夫妻と同様にZoom越しにビンゴを見守る、他の購入希望者たちの誰かの手に渡ることになる。そして夫妻は、10代の子供ふたりと一緒に寝室2部屋の分譲マンションにとどまりながら、ポストコロナの白熱した住宅市場で苦闘を続けることになる。
「私たちの抽選の番が近づいてきたとき、(緊張のあまり)自分の体から抜け出して、外から自分を見ているような気分でした」と、ジェズレリーンは言う。
都市部からの移住希望者が殺到する、カリフォルニア州の「リバー・アイランズ」(Stephen Lam/The San Francisco Chronicle via Getty Images)

住宅市場のゲームチェンジャー