【処方箋】日本企業におくる「人権デューデリ」のリスク管理
- 日本も「世界基準」を求められる
- これから「処罰の対象」に
- 企業が背負う「4つのリスク」
- 今、日本企業がすべきこと
- 「攻め」の情報公開を
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寄稿の機会を頂いたクロール・シンガポールの川端です。リスクコンサルティング業務に従事する実務的な視点から、「人権デューデリジェンス」の重要ポイントをまとめました。
想像以上に国際スタンダードでは進展しています。近年、クロールに依頼のあるデューデリジェンスの案件でも人権、地球環境、労働環境、サプライチェーンリスクといった視点の調査項目が含まれることが標準化しつつあります。公開情報だけでは読み切れないリスクでもあり、人的情報収集が必須の分野でもあります。
欧米的なスタンダードで「人権とビジネス」の慣行が積み重ねられ、「ソフトロー」から「ハードロー」へという動きも進んでいます。良い悪いはさておき、もはや不可逆の流れと言えるでしょう。
日本企業も注目すべき取り組みを進めてきた企業がありますが、今後、より数多くの日本企業がグローバルな動きを意識しながら対応していくべき事項となります。経営トップの強い意志と、予防こそが最大の効果を生みます。
日本政府は、国連で決まった強制力のある決議は、模範的なくらい遵守してきました。つまり、安全保障理事会で決議された北朝鮮やイラン、テロ組織と指定された組織への制裁です。
しかし、人権外交といわれる時に問われるのは、国連での決議よりも+αの具体的行動です。たとえば、ウイグル問題やミャンマー問題については、安全保障理事会で制裁が決議されることはありません。中国とロシアが反対に回ります。
いわゆる人権外交の具体的課題には、ウイグル問題やミャンマー問題、その他にもサウディアラビアとUAEによるイエメン侵攻であるとか、中東とアフリカのいくつかの国への制裁の問題があります。これらのケースでは、国連での決議は無くても米国やEUが制裁を課しています。もう1つ重要なのは、ロシアへの制裁でしょう。
人権外交というのは、そのほとんどは、日本政府も米国やEUと同じ陣営に立ち、同じ制裁を課すかどうか、という問題になります。国連での決議さえ守っていれば米国やEUと同じ陣営であるとは、もはやいいにくくなりました。
もちろん、日本政府とは関係なく、個々の企業が人権デュ―・デリジェンスを意識した価値観に基づいて、自社のサプライチェーンに変更を加える、ということはありえるでしょう。あるいは、国際NGOなどからの批判を受けて、そういう選択をする、ということもありえるでしょう。
政府のつくったルールと企業の価値判断は別の問題といえます。しかし、この問題は、やはりワシントンやブリュッセルで各国政府がつくっているルールの問題であると理解した方が適切でしょう。市民社会とか消費者の意識、という以上に、米国やカナダ、EUがつくっている法律があるため人権デュー・デリジェンスを企業も取り入れなければならなくなる、という方が、状況を適切に把握できるといえるでしょう。
国際NGOなどは、ワシントンやブリュッセルでのルール作りのプレイヤーであるからこそ影響力がある、といえます。
欧米の先進国を中心に人権デューデリの必要性が叫ばれる一方で、まだ概念が普及していない日本ではあまり資料がありません。そのため、いざ人権デューデリをしようと思っても、どこから手をつけたら良いのかわからない、という企業が多いようです。
その中で、米国のリスクコンサルであるクロールの川端さん(元同僚)に人権デューデリの考え方について寄稿してもらいました。ぜひご一読ください。
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