2021/6/4

【処方箋】日本企業におくる「人権デューデリ」のリスク管理

Kroll Associates Singapore Senior Vice President
ミャンマーにおける軍事クーデターと一般市民に対する暴力行使や、米国によるウイグルでのジェノサイド認定──。
こうした動きは日本を含む先進国企業に対して、ビジネスにおいて人権概念をどう体現していくかという問いを突き付けている。
最近、注目度が高まっている海外ビジネスにおける人権デューデリジェンスは、各国の政治情勢や、米中の動きなど地政学的な視点を含んだグローバルスタンダードに合わせることが不可欠だ。
筆者が勤務するクロールが日本企業から依頼を受けて行うデューデリジェンスにおいても、人権に関連する調査項目が盛り込まれる案件が増え、スタンダードとなりつつある。
もちろん、これまでも人権規範を掲げて様々な施策を行ってきた日本企業もある。
ただ今年は、より多くの日本企業に求められるという意味において、「人権デューデリジェンス元年」と言える年になるだろう。
では具体的に、どうやって人権デューデリジェンスを考えれば良いのか。
本稿では、①国内外で注目すべき動きを紹介し、②人権デューデリジェンスを怠ることによるビジネスリスク、③具体的なリスク回避の手段について、ミャンマーでの事例を中心に解説したい。
INDEX
  • 日本も「世界基準」を求められる
  • これから「処罰の対象」に
  • 企業が背負う「4つのリスク」
  • 今、日本企業がすべきこと
  • 「攻め」の情報公開を