2021/5/27

【新】あなたが知らない「AIの脅威」の正体

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、中央大学国際情報学部教授の岡嶋裕史氏だ。
初心者向けにわかりやすくテクノロジーを解説する語り口に定評のある岡嶋氏だが、2月に上梓した『思考からの逃走』(日本経済新聞出版)では、かなり“攻めた”テーマを取り扱っている。
「AIの脅威」が、世間を騒がせるようになって久しい。「AIに仕事を奪われる」「AIに監視・支配される社会が到来する」といったテーマは、繰り返しメディアで取り上げられる。
だが、いま喫緊に議論すべき問題は、別のところにあるのではないかと岡嶋氏は言う。
それは「思考の外部化」という問題だ。
人類の歴史とは「外部化」の歴史である。「情報の伝達」にせよ、「移動」にせよ、「計算」や「記憶」にせよ、われわれは面倒な作業を片っ端からアウトソーシングしてきた。
そして、最後に残った大物が「思考」だ。AIのインパクトは、「思考を外部化できるキラーアプリケーション」だという点にある。
思考とは人間の核心を担う能力だ。その外部化を重ねていくと、一体どんな問題が起きるのだろうか? 『思考からの逃走』は、その論点を広く整理した一冊である。以下、同書のエッセンスを紹介していこう。
INDEX
  • 「意思決定」を放棄する若者たち
  • 思考の外部化は「悪」なのか
  • 「自分で考えるのが怖い」人たち
  • AIの判定がはらむ「あやうさ」
  • 「中途半端な自動化」はかえって危険