(ブルームバーグ): 三重県は今年度に発行を検討しているグリーンボンド(環境債)について、発行規模50億円を目指し年度後半の起債に向けて準備を進める。調達した資金は同県の特産である真珠の養殖関係にも活用する意向だ。

同県総務部財政課の石黒将之課長が20日、ブルームバーグの取材で明らかにした。石黒氏は発行額や年限などの詳細は未定だと断った上で、他の自治体による「先行事例を参考に発行額はまず50億円を目指す」と話した。年限は5年や10年を念頭に置く。国際資本市場協会(ICMA)の原則に沿って起債するため、今後、外部評価機関からグリーンボンドの認証を取得する。

三重県は2019年に「脱炭素宣言」を打ち出した。ことし3月に策定した「三重県地球温暖化対策総合計画」によると、30年度までに県の温室効果ガス排出量を13年度比30%削減、県庁の事務・事業で排出される温室効果ガスの同40%削減を目指している。「財源に環境債を活用することで、脱炭素社会実現への機運の高まりにつながる」と石黒氏はみている。

調達した資金の充当先には、気候変動に応じた防災・減災事業、照明の発光ダイオード(LED)化や電気自動車などの導入に加え、真珠養殖用の真珠貝(アコヤガイ)の生育環境改善といった三重県特有の事業も盛り込む考えだ。

国内の自治体では東京都や長野県、神奈川県が昨年度に環境債を発行。川崎市も今年度に起債する方針で、ESG(環境、社会貢献、企業統治)債発行団体の裾野が広がりつつある。

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