2021/6/22

【井手直行】よなよな絶好調、縮小ビール市場で18期連続増収

株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長
長年にわたって市場が縮小傾向にあり、コロナ禍においてはアサヒやサントリーといった大手が軒並み売り上げを落とすビール業界で、18期連続で増収している企業がある。長野県の軽井沢町でクラフトビールをつくるヤッホーブルーイングだ。

看板製品である「よなよなエール」を中心に、個性的な味わいと斬新な製品名・パッケージデザインで日本のクラフトビールを牽引する。そこにあるのは「日本のビール市場に新しい文化をつくる」という大志。

創業メンバーとして入社し、どん底を味わいながらも現在の飛躍をもたらした社長の井手直行氏に、その軌跡とクラフトビールへの熱い思いを聞いた。(全7回)
井手直行(いで・なおゆき)/ヤッホーブルーイング 社長
1967年福岡県生まれ。国立久留米工業高専電気工学科卒業。大手電気機器メーカー、広告代理店などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。地ビールブームの衰退で赤字が続くなか、ネット通販業務を推進し、2004年に業績をV字回復させる。現在まで18期連続増収。2008年社長に就任。ニックネームは「てんちょ」。
INDEX
  • ビール消費量は1994年がピーク
  • 厳しい状況で18期連続増収
  • エールビールに魅せられた星野
  • 赤字から「楽天市場」で脱する

ビール消費量は1994年がピーク

ビールが飲みたくなる季節になってきました。こんにちは、ヤッホーブルーイングの社長、“てんちょ”こと井手直行です。
私たちが長野県の軽井沢でクラフトビールをつくり始めて、今年で25年目になります。
実は、日本のビール消費は1994年をピークに減少傾向にあります。その主な原因は税率の高さ。 
ビールとは主原料である麦芽の比率が50%以上(2018年の酒税法改正前は67%)かつ既定の副原料を使用している醸造酒を指し、50%未満のものは発泡酒に分類されます。
この麦芽比率に応じて税率が定められるため、大手ビールメーカーは価格の安い発泡酒に力を入れるようになりました。
さらには麦芽以外の穀物を原料にしたり、別のアルコール飲料からビールのような風味をつくりだす 「第三のビール」が登場。
また、消費者の好みの変化による酒類の多様化や、若い世代のアルコール離れもビール消費量の減少に影響しているでしょう。

厳しい状況で18期連続増収

しかし、そのような状況にあっても、当社は18期連続の増収を達成することができました。