【解説】ESG時代の必須戦略、「ルールメイキング」とは
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今やステークホルダー経営は、超・長期視点で見て、企業成長に資するとの考えは増えています。実際、「コンシャス・カンパニー」、「三位一体の経営」などがベストセラーになっています。
ほかにも、SVCやら、トリプル・ボトムラインやら、枚挙にいとまがありません。
とはいえ、弱肉強食のビジネスの世界において、善意だけの丸腰で戦うとなると、なかなか厳しいもの。
その点、ルールをうまく活用した「したたか」を持ち合わせているESG企業が実に多い。
併せて、ESGの常連銘柄は、採用活動で優位に立てるとのことです。
例えば、ソニーでは、採用候補者が「サステナブルレポート」を読んでいるケースが多々あり、これからは投資家やNGO関係者だけでなく、学生も読むことをいっそう意識するとのことです。「国際的なルールメイキングへの関与が決定的に重要」というのは、金融の世界ではバーゼル規制の1980年代末からそうだったと思います。(その後の金融規制は海外発のものが殆どです。ESGもそうなるでしょうね。)その過程で感じたことをいくつか。
まず、国際的なルールメイキングでは、「議長を取る」「事務局を取る」ことが決定的に重要と感じました。今の国際的ルールメイキングでは、最低単位が「G20」になりつつあり、席上に何十人も並ぶ中で、平場で意見を言っても、(本人はいかに良い発言をしたと思っていても、)実際にはあまり聞かれていないと思った方が良いと思います。結局、議長案・事務局案の段階で大筋が出来上がっており、その起草プロセスに関わらないと、どうしようもありません。実際、海外諸国の議長ポスト争奪戦は、相当激しいです。
また、ルールメイキング母体には、極力、設立の早期から関わった方が有利と思います。(創設メンバーになれればベスト。)後から加わるほど、ポスト獲得やコンテンツへの関与が難しくなります。
さらに、日本の国内体制を国際的ルールメイキング合戦に対応できるものにしていくことも必要と思います。国際的検討主体でのプレゼンスを確保するには、当該分野で5年、10年とキャリアを積み、人脈を形成している人々が絶対的に有利です。この点、「原則2年で交代」という日本の伝統的な官僚人事ローテーションは、どうしても不利に働きます。これを打破する取り組みにも期待したいと思います。「もってけドロボー」で思い出すのは昔ソフトバンクがハイスピードインターネットのモデムを街頭で無料で配っていたこと(ダイヤルアップなんて知らない人も多いかもしれませんが)。規制とは少し違いますが、ハイスピードが普及することでヤフーに大きなビジネスチャンスが生まれたわけです。
先月上梓したダイキンのケースのためにインドのジャワ社長にもインタビューをしましたが、インドはちょっと単純化しすぎと思います。日本のダイキンの良さを活かしながらインドにあったち密な戦略が勝因です。またインドの空調シェアも2018年から1位ときいています(定義にもよるのかもしれませんが)。格力のほうはその通り。技術を盗まれると大反対の中で提携を決めた井上社長(当時)の眼力はすごいと思います。