2021/3/24

【新】高橋祥子の問い:人類は遺伝子を使いこなせるか?

株式会社ジーンクエスト 代表取締役
誰も正解を知らないBIG QUESTIONについて、読者のコメントを反映しながら、問いを立て、読者とともにオンライン対話する新しい学び。
NewsPicksでは、そんな「BIG QUESTION CLUB」という新しいコンテンツ体験を始めます。
記事を読み、
●どんなことを感じ、考えたか
●どんな「問い」について話し合いたいか
●ナビゲーターへの質問
など、自由にコメント欄にお書きください。
初回のナビゲーターは、ジーンクエスト代表で『生命科学的思考』(NewsPicksパブリッシング)を刊行した高橋祥子氏です。
ゲノム編集技術「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)」が大きな注目を集めるなど、21世紀は「バイオテクノロジーの世紀」と呼ばれます。
しかし社会は、テクノロジーが登場した瞬間には、その技術の及ぼす影響や、どこまで活用していいのかを判断できません。
その意味で、「ゲノム情報を個人がどのように扱えばいいのか?」というビッグクエステョンは、先んじて議論を始めておくべきテーマです。
バイオテクノロジーがさらに発展し、自らの遺伝子解析が「当たり前」となった未来において、人々の価値観は、人生の選び方は、どのように変化するのでしょうか?
我々は今、何を考えておくべきか。高橋さんからのビッグクエスチョンです。
INDEX
  • 「いつか来る未来」を前提に
  • 予習① 遺伝子がわかると怖い?
  • 予習② 遺伝子ってなに?
  • 予習③ メリットとデメリット
  • 遺伝子で夜泣きシフトを決める
  • 新しい世界の価値観
  • 遺伝子編集は、どこまで許される?
  • さあ、対話しよう

「いつか来る未来」を前提に

──高橋さんは一貫して「いずれ来る未来のことは、今、考え始めてみよう」と主張されていますね。
高橋 はい。2012年に登場した「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)」などのゲノム編集技術によって、今、「デザイナーベイビー」が可能になりつつあります。
──「遺伝子を自由に編集するツール」を人類は初めて手にしようとしている、と。
ただ、どこまでゲノム編集が許されるか、まだ明確な答えは出ていません。
本来なら「ゲノム情報とどう向き合えばいいのか」という問いは、2003年にヒトゲノム計画が完了した時点で、テクノロジーの発展を見据えて先んじて始めてもよかったはずです。
──ヒトゲノム計画が完了した時点で、近い将来、人類はゲノム編集することが可能になるとわかっていたんですね。
登場してから活用しようか、規制しようかの議論を始めていると、さらに合意形成までに時間がかかるし、その間に望ましくない使われ方をするかもしれません。
だからこそ、「いずれ来る未来」を想定して議論しておくことに意味があります。

予習① 遺伝子がわかると怖い?