【柴山和久】投資の損失リスクゼロは不可能。どうすればいいか
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ウェルスナビの創業者でCEO・柴山和久氏の連載第3回です。
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一人ひとりに最適な資産運用を提案し、ほったらかしでも自動で運用を続けてくれるロボアドバイザー投資サービス。その国内最大手であるウェルスナビは2020年末にロボアドバイザー投資専業として日本初となる上場を果たし、公開価格を50%以上上回る初値をつける人気となった。
2015年に同社を創業し、経営の舵取りを続ける柴山和久氏は、東大、財務省、マッキンゼーという華やかなキャリアを歩んできた。しかし、人生の価値観を大きく変える挫折や経済的困窮も経験したという。
預かり資産が4000億円に達したウェルスナビは、資産運用ビジネスを通して何を目指そうとするのか。柴山氏の「お金哲学」に迫る。(全7回)
■第1回 金融リテラシーがないと豊かになれない社会は間違いだ
■第2回 死に物狂いでMBAを取得したのに、就職できない
■第3回 投資の損失リスクゼロは不可能。どうすればいいか
■第4回 お金の有無で人生の豊かさは測れない
■第5回 10兆円も10万円も、資産運用の基本は同じ
■第6回 どんなに激務でも休日に仕事をしてはいけない理由
■第7回 金融危機はこの先、何度でもやってくる
注目のコメント
取材いただきました。
「長期・積立・分散」の重要性は、NPをはじめ、さまざまなメディアで取り上げられてきましたが、日本全体では普及はまだまだこれからです。実際、今回のインタビューでお話しした私が犯した投資の失敗について、「自分にも身に覚えがある」という感想を多く頂いています。例えば、以前の私のように、過去のパフォーマンスだけで投資を決めると、失敗する確率が高くなります。
また、せっかく「長期・積立・分散」の資産運用を始めても、株価が下がった時にやめてしまう方も多くおられます。日本では、投資信託の平均保有年数は約3年で、最低10年と言われる長期投資からは程遠いのが実情です。
そこで、昨年2月から3月にかけて、コロナ・ショックで、株式市場が大きく下がった時には、ビデオレターやニュースレター、NPでのコメントなどを通じて、長期投資の大切さについて説明してきました。日本全体で見ると、この期間にバランス投信から資金が流出してしまったのですが、ウェルスナビの利用者の95%が長期投資を(1円も資金を引き出さずに)続けることができました。
こうして約20万人の方が、長期・積立・分散でコロナ・ショックを乗り越えることができ、この20万人の成功体験を、30万人に拡げていくことが私たちウェルナビの今年の目標です。
ウェルスナビでは、エンジニアやデザイナー、事業責任者など、幅広い職種で積極的に採用活動をしています。ご興味がある方は、ぜひ、お声がけください。リーマンショックを描いた名作映画「Big Short (邦題マネーショート)」はクラスでも見て議論します。あれだけ頭がいい人がこぞって「勧められた商品を全く理解せずに買う」のですが、その渦中ではみんな自分たちが合理的な判断をしていると思っているはずです。人間が自信過剰などのバイアスを持つ生き物であることを考えると、個別で「良し悪し」を選別することの危うさはどうしても避けられないので、「長期・積立・分散」はとても納得感があります。
短期的なリターン目的で個別銘柄を自分で選ぶとなると、「上がるか下がるか」だけでなく、「いつ上がり、いつ下がる」も想定しないといけません。
これを的中できる人というのはそういません。
ゆえに、「長期・分散・積立」という方向での投資が、ウェルスナビに限らず、増えていっているということでしょう。
「要するに、「何に投資すれば儲かるか?」という姿勢で個別の投資対象を当てるのは非常に難しく、運不運に大きく左右されるということです」