2021/4/11

【水口貴文】経営者として大切にしている「2つのこと」

Starbucks
1971年に米シアトルで産声を上げたスターバックスは、96年に日本に上陸。東京・銀座に1号店をオープンしてから今年で25年を迎える。現在、全国に1628店(2020年12月現在)を展開し、約4万人のパートナー(従業員)が働く。

水口貴文氏は、ルイ・ヴィトン ジャパンカンパニー副社長、ロエベ ジャパン カンパニー プレジデント&CEOを経て、2016年6月、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOに就任。ブランドビジネスに造詣が深く、グローバルビジネスの経験も豊富だ。

外資系トップにふさわしく輝かしい経歴の持ち主だが、34歳のとき、傾きつつあった家業の靴製造卸の立て直しに奮闘し、他社に譲渡した経験も持つ。決して平坦な道のりではなかった水口氏の経営者としての軌跡を振り返る。(全7回)
水口貴文(みなぐち・たかふみ)/スターバックス コーヒー ジャパン CEO
1967年東京生まれ。89年上智大学法学部卒業。伊ボッコーニ大学でMBA取得。プライス ウォーターハウス コンサルティング、家業の靴製造卸会社を経て、2001年にルイ・ヴィトン ジャパンカンパニーに入社。10年ロエベ ジャパンカンパニープレジデント&CEO。14年にスターバックス コーヒー ジャパン入社、最高執行責任者(COO)に就任。16年6月から現職。

スターバックスは人がブランド

ロエベのリブランディングに1つの方向性が見えた頃、当時、スターバックスの社長をされていた関根純さんから「次(の社長を)やらない?」と冗談交じりに言われたのが、現在に至るそもそものきっかけです。
関根さんはもともと伊勢丹出身で、私がルイ・ヴィトン ジャパンで東日本の営業統括をしていたときの交渉相手でした。ロエベ時代に再会して、スターバックス コーヒー ジャパン入りを打診されたのです。
最初は「何を言っているのですか」と返していましたが、そのうち現実味を帯びてきました。もちろん人間関係だけで入ったわけではありません。私はずっとファッションに携わってきたので、「自分にできるだろうか」という思いもありました。
最終的にスターバックスへの入社を決めたのには、いくつか理由があります。