2021/4/2

【小島武仁】アルビン・ロス教授とマッチング理論とコーヒーアワー

東京大学経済学部教授 東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)所長
2020年9月、東京大学にマーケットデザインセンター(UTMD)が設立された。所長に就任したのが、気鋭の経済学者・小島武仁氏だ。

人と人、人とモノ・サービスの最適な組み合わせを実現する方法・制度設計を研究し、社会実装につなげる「マーケットデザイン」は、近年の経済学で注目されている分野。2020年のノーベル経済学賞が、マーケットデザインの一領域の研究者に授与されたことは記憶に新しい。

小島氏は東京大学経済学部を総代で卒業後、米ハーバード大学院、スタンフォード大学でノーベル経済学賞受賞者らに教えを受け、共に研究活動を行ってきた。自身も国際的に高く評価され、スタンフォードでテニュア(終身雇用資格)を得ながらも、母校の東大に拠点を移し、日本での研究活動、人材育成、社会課題への取り組みに意欲を燃やす。

小島氏の研究者としての歩みを追いながら、師の教えや自身の哲学を聞いた。(全7回)
ハーバード大学院修了式

アルビン・ロス教授との出会い

米ハーバードの大学院には教授陣もさることながら、優秀でユニークな学生が世界中から集っていました。大学院の友人たちとは、在学中から共同研究をして、論文も複数執筆しています。
留学したばかりの頃は、英語を話すことに苦戦しました。今でも苦手意識がありますが、当時は相当ひどかったと思います。指導教官で、2012年にノーベル経済学賞を受賞したアルビン・ロス教授には、いまだにからかわれることがあります。