2021/2/8

【論考】米国か欧州か。日本が今進むべき「子育て」は

国立社会・人口問題研究所の調査によると、初婚同士の夫婦が理想の数の子どもを育てない理由として、最も多いのが経済的理由だ。
日本では、女性の出産をきっかけに、フルタイム勤務からパートタイムに移行したり、離職したりするケースが多い。
世帯の所得が減ってしまう上、女性のキャリアプランも方向転換を余儀なくされる状況が、出産を断念させていると考えられる。
こうした中、夫婦どちらかの年収が1200万円を超える世帯に対して、児童手当の給付を廃止する関連法改正案が閣議決定された。
政府は待機児童の解消のため、2024年度末までに14万人分の保育施設を新たに確保する計画で、児童手当の所得制限によって浮いた費用を、この財源とする。
私たちは、この政府の決定をどう評価すべきか。
ノルウェーのスタヴァンゲル大学教授で経済学者である小野坂優子氏は、日本で生まれ育ち、アメリカ、ノルウェーで子育てをしてきた。
専門家であり、子育ての当事者でもある小野坂氏に、日本が目指すべき子ども政策を聞いた。

「性別役割分業」の背景

──統計を見ると、日本では、まだまだ「男は外で働き、女は家を守る」という性別役割分業が根強く残っており、出産後に離職する女性も少なくありません。ノルウェーはどうでしょうか。