(ブルームバーグ): ミャンマーで発生した軍事クーデターの余波で現地に進出した日本企業の生産拠点の休止などが発生しており影響が拡大している。JFEホールディングスは2日、傘下の企業などが操業している現地の2工場の操業を停止していることを明らかにした。
同社の広報担当によると、JFEスチールと現地企業の合弁による建材用の溶融亜鉛メッキの製造拠点はもともと休業が予定されていた1日に続き2日も稼働を停止した。従業員全員に対し自宅待機を指示したという。
このほか、JFEエンジニアリングと同国建設省の合弁会社は、橋など鋼構造物を製造する工場や支店を2日まで臨時休業することを決めた。3日以降については状況を見て判断するとしている。
ヤクルト本社は、ミャンマーの最大都市ヤンゴン市近郊の「ティラワ経済特区」にある工場の稼働を3日まで停止する。同社の広報担当によると、4日以降の稼働については現地の情報を収集して判断するという。同工場で「ヤクルト」を生産し現地で販売している。
スズキの広報担当は、1日午後に停止した四輪や二輪を製造する現地の2工場が2日も休止しており再開時期は未定だと話した。
ANAホールディングス(HD)は2日、現在週2便運行している成田-ヤンゴン線について、今週と来週は欠航する計画を明らかにした。政権を掌握したミャンマー軍が4月末まで全ての空港を閉鎖することを決めたためとしている。
デンソーもウォッシャーホースを製造する同社のミャンマーの工場は1日午後に停止した。現地の情報が入っておらず、2日以降の見通しは不明としている。同社の松井靖経営役員は同日の決算発表会見で、仕入れ先や自動車メーカーとも連携しつつ従業員の安全確保を優先して進めているとした上で、「現在は異常はない」と述べた。
その他の企業への影響
- 日産自動車からの生産委託でセダン「サニー」を生産するタンチョンモーターの広報担当者は、ミャンマーのバゴー工場では現時点で限定的な生産を行う予定だと述べた
- 日産の広報担当の百瀬梓氏はどの程度の台数が影響を受けるかについてコメントを控えた
- 三菱商事の広報担当は、同社が現地で取り組む事業への影響については分からず、現状を注視するとコメント
- マンダレー空港や病院の運営などインフラ関連事業を中心に手掛けている
- ネビドーとヤンゴンにある事務所に数十人の現地駐在員-全員の安否確認は取れている
- 住友商事や現地企業と共同で携帯電話通信事業を展開するKDDIの広報担当の中尾亮介氏によると、携帯電話は不通かつながりにくい状況-設備破損の可能性も含めて詳細を確認中
- 現地駐在員20名弱の安全は確認できた
- 住友商事広報担当の光原克氏は現地の事業への影響については情報を収集中とコメント
- 通信事業やティラワ経済特区の工業団地の開発・運営、港湾ターミナルの建設や鉄道整備事業を手掛けている
- 駐在員や現地スタッフの安否は確認できた
- 丸紅の広報担当も事業への影響については確認中とコメント
- 十数人いる現地の駐在員の安否は確認できており自宅待機中-安全の確保を指示
- 備考:ミャンマーでは同国の国軍による1日のクーデターでアウン・サン・スー・チー国家顧問ら政府指導者が拘束され、1年間の非常事態宣言が発令された
(ANAHDの欠航に関する情報を追加して記事を更新します)
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