2020/12/25

【直撃】半導体メーカーは「不要」になるのか

NewsPicks編集部 記者
コロナが世界を覆った2020年は、実は、半導体の年でもあった。

世界を代表する半導体メーカーであるNVIDIAやAMDが数兆円規模の大型買収を行い、業界の再編が進んだほか、これまでは半導体のユーザーにすぎなかったアマゾン、マイクロソフト、アップル、グーグル、テスラなどの巨大テック企業が、自ら半導体を作る側に回りはじめた。

この激動の中で迎える2021年は、さらに半導体にとって大きな年になるだろう。

「ハードウェアだけにこだわっていたら、端っこに追いやられてしまう」

もはや数少ない「日の丸半導体」企業の生き残りとなったルネサスエレクトロニクスの柴田英利CEOはこう危機感を表す。

ルネサスはこれまで、トヨタをはじめ、大手自動車メーカーを中心に半導体を供給してきたが、モビリティの分野は、自動運転や電動化など、まさに大きな転換を迎えている領域だ。

「10年後、20年後、ルネサスのコアは、半導体をつくることではなくなっているかもしれない。自分で自分の『食い扶持』を奪うようなことをやりたい」

半導体業界の未来とルネサスの戦い方について、柴田CEOに語ってもらった。
3つのポイント
①今ある半導体メーカーのうち、半分は買収されていく
②テスラのように半導体まで内製する車メーカーは「特殊」
③差別化のポイントは、半導体ではなくソフトになる

半導体の「5つの機能」

──半導体は種類も多く、プレーヤーも多様です。まず、半導体メーカーの現在の「業界地図」を今どう捉えていますか。
半導体の機能は、人間と似ています。①感知・伝達、②反射、③思考、④記憶、⑤運動という5つに分けると、分かりやすいかと思います。
柴田英利CEO(撮影:TOBI)
人間でいう①感知・伝達とは、目の前にモノがあることを見たり、手で触ったりして認識し、それを神経系に伝えることです。