[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米国で14日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。

接種はニューヨーク州で始まり、一番手はロングアイランド・ジューイッシュ・メディカル・センターの集中治療室(ICU)で働く看護師のサンドラ・リンゼイさんだった。

リンゼイさんは「他のワクチン接種と何も変わらなかった」と感想を述べ、「希望や安心感とともに癒しの訪れを感じている。これが歴史に残る多大な苦しみの時代の終わりの始まりになってほしい」と語った。

トランプ大統領は「初のワクチン接種だ。おめでとう米国、おめでとう世界!」とツイッターに投稿した。

米国ではこの日、新型コロナ感染症による死者が累計で30万人を超えた。

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はMSNBCに対し、米国では一般国民へのワクチン接種が「3月末から4月初旬まで」、もしくは「2021年第2・四半期末、春の終わりまで」に始まる可能性があるとし、「秋にかけて一定の安心感を得らえるようになるだろう」と述べた。

ワクチン接種はこのほか、カリフォルニア州ロサンゼルス、ルイジアナ州ニューオーリンズなど各地の病院でも始まり、一部はテレビ中継された。

政府継続の観点から政権幹部も早期接種の対象となっており、クリス・ミラー国防長官代行はこの日、トランプ政権の閣僚として最初にコロナワクチンの接種を受けた。

14日深夜までに、ワクチンは事前に指定された配布拠点、全145カ所への出荷がほぼ完了した。

政府関係者はワクチン供給で大きな問題は報告されていないとしている。だが、政府のコロナワクチン開発加速に向けた「ワープ・スピード作戦」の一翼を担うペルナ米陸軍大将は記者会見で、今週は猛烈な嵐の予報があり、別の491カ所へのワクチン出荷に影響する恐れがあると述べた。

米保険サービス大手のカイザー財団医療プランのグレッグ・アダムズ会長兼最高経営責任者(CEO)はワクチン接種は「時間との競争だ」と語った。

米公衆衛生局のアダムス長官はFOXニュースとのインタビューで「史上最も困難なワクチンの展開であり、間違いなく支障が生じるだろうが、可能な限りスムーズに進行するよう、あらゆる対策を講じてきた。われわれとともに辛抱してほしい」と訴えた。

米州兵によると、26の州・領土がコロナワクチンの供給で州兵の支援を受けている。

また、ファイザーのブーラCEOはこの日、CNNテレビとのインタビューで「米政府は当社に対し、来年第2・四半期に追加で1億回分のワクチンを求めている。1億回分のワクチンを供給することは可能だが、現時点ではその大半が第3・四半期の供給になる可能性がある」と述べた。

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