2020/12/3

【本命】テスラはこうして「自動運転」でぶっちぎる

NewsPicks編集部 記者
「ソフトウェアに真剣に取り組むと、自分たちでハードウェアを作ることになる」
パソコンの父と呼ばれるアラン・ケイは今から数十年前に、こんな言葉を残している。そしてそれが、まさに現実に訪れようとしている。
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、そして自動運転の実現を目指すテスラ…。世界の最先端のソフトウェア企業が半導体の内製化を進めている。
こうしたハイテク企業たちはこれまで、自社製品に使う半導体は、専門メーカーから購入することでまかなってきた。
アップルはインテル、テスラはエヌビディアから調達して、パソコンや電気自動車(EV)に埋め込んできた。
しかし、人工知能のアルゴリズム開発競争が激しくなるにつれて、ソフトウェアだけで差別化するのが難しくなりつつある。
そこで各社は、計算能力の鍵を握る半導体(チップ)の分野にまで進出し、自社のソフトウェアに合った形にカスタムして開発しているのだ。
実際にアップルはデスクトップ型PCであるiMac以外の主要製品の半導体は、すでに自社設計品を使用している。またテスラのモデル3などのEVにも、すでに内製されたチップが載っている。
NewsPicks編集部は、半導体チップ内製化の最前線を追った。
テスラをウォッチし続けるハンガリーの自動運転ベンチャー、AIモーティブのアクセル・ビアルケ日本法人CEOとトニー・キングスミス氏による解説をお届けする。

「テスラ半導体内製」の衝撃

──2019年、テスラが自動運転用のAIチップ(半導体)を内製したと発表し、自動車業界に少なからぬ衝撃を与えました。
「自動車メーカーが、専用チップを自社で開発することが競争力の源になる」と知らしめたという意味で、非常に大きな出来事でした。