2020/9/22
【入山章栄】日本企業よ、経営の原点に立ち返れ
コロナ禍で、経営のあり方が問われている。観光業や航空、鉄道、自動車産業などが落ち込み、不採算の事業をやめる一方、新しい分野に乗り出すといった、大胆な変革の必要性が増している。
同時に、リモートワークによって、一人一人が働く姿が見えなくても成果ベースで仕事することが定着しつつある。そうなると、終身雇用や年功序列にもいっそう変化が進むだろう。
とはいえ、将来があまりに不透明のため、やるべきことの見通しが立てにくい。そんな時、経営者やビジネスパーソンが向き合うべきことは何か。
こうした中、今こそ「日本全体が変わる奇跡的なチャンス」と説くのが、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授だ。入山教授は「世界標準の経営理論」などの著作でも知られる。同書は昨年末に刊行、60万字の大著にもかかわらず、早くも8万部超えのベストセラーになっている。
不確実性の高い時代において、入山教授は同族経営に注目しているほか、実は日本の「野中郁次郎氏の経営理論が今こそ重要」とも説く。
入山教授に、今こそ求められる経営の要諦や、コロナ禍にある今こそ日本にとってチャンスである理由について聞いた。
同族経営が強い
──同族経営に着目しているそうですね。入山教授自身も、同族経営のロート製薬の社外取締役を務めています。
そもそも日本の上場企業の業績をデータ解析すると、長期的に成長率や利益率の高い会社は、日本電産やファーストリテイリングのよう創業者がまだ現役の企業か、ロート製薬やユニ・チャームのような創業家が経営トップを務めている同族企業です。
京都産業大学の沈政郁教授がアルバータ大学の著名研究者などと2013年に「ジャーナル・オブ・フィナンシャル・エコノミックス」に発表した統計解析などで、その傾向が明確に示されています。
なぜかと言えば、最大の理由は経営者・企業が「長期目線で知の探索を続けられるので、結果として変革・イノベーションを起こし続けられるから」と私は理解しています。
「知の探索」については、NewsPicksで何度かお話ししていますよね。ビジネスで長期に不可欠なのは新しい価値を生むイノベーションであり、変革です。
そのためには、新しいアイディア・知を生み出す必要がありますが、その源泉は「既存の知と知を組み合わせる」ことにあります。
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