捜査に顔認証、全国の警察で 3月から運用開始
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アメリカではサンフランシスコ、ポートランドなど、公共機関が顔認証技術を使うことを禁じる市が出始めており、EUでも類似の動きがあります。人種によるバイアスが大きい問題が指摘されています。
過去の逮捕者データベースと酷似する顔が映像から見つかったとして、そこで得られる情報は、まずはその人が誰の可能性が高いかを示す人定情報です。そこから先に入りうる、「逮捕歴ある人物」への捜査員のバイアスをどうコントロールするかが大きな課題になりそうです。
DNA鑑定について最高裁の司法研修所が2013年、「科学的証拠とこれを用いた裁判の在り方」という研究リポートを作成していますが、鑑定評価の重要なポイントとして試料採取や鑑定の方法に加え、出た結果についてどう考察したかが挙げられています。顔認証にも通じるポイントです。防犯カメラの画像やSNSのやり取りを捜査に活用することはすでに行われています。警視庁が2009年に創設した捜査支援分析センター(SSBC)が画像分析捜査の嚆矢と言われます。座間の9人殺害事件の容疑者特定は、SSBCの技術によるものとされています。SSBCは態勢が強化され、技術も日々進化しており、日本の警察のお手本になっています。防犯カメラの画像を捜査に活用する是非は1990年代に議論になりました。しかし、その劇的なまでの捜査力向上に、人権侵害への懸念は吹き飛んだようになりました。今回報じられているのは、全国の警察がSNS画像を日常的に顔認識とリンクさせ始めたということでしょう。誰もが見られる画像を捜査に活用するのは、当たり前という考えもあるでしょうが、誰もが見られる情報でも国家権力が一括管理してデータベース化し、即検索可能な状態に置くことは、やはり別の意味を持ちます。中国のように軽微な交通違反をしたことも画像を通じて警察に把握される社会をよしとするのか、という議論にもなります。警察可能な限り、運用状況を開示すべきだと思います。
こういうテーマは、メディアでは必ずと言って良いほどプライバシーと結びつけて議論されやすいが、運用がしっかりしていれば、メリットの方が大きいと考えることもできる。
犯収法の改正で金融機関等の新規口座開設における本人確認に顔認証が認められるようになったのと背景は同じだと思う。