新型コロナ 東京 472人感染確認 過去最多を更新
コメント
注目のコメント
1.受けとめ方
新型コロナウイルスのような新興感染症で、ここまで世界中で感染が拡大した場合には、
・収束までに、かなりの時間がかかる。
・収束までに、何度も繰り返し、波は来る。
↓
したがって、「そういうものなんだ」という理解と覚悟と(よい意味での)諦めを持って、折り合いを付けながら、やっていくしかないと思います。
そう考えれば、毎日毎日、数字に一喜一憂することでもないですし、感染した方や場所を責める風潮も、良いことではないと思います。誰にとっても、明日は我が身。
2.緊急事態宣言
感染が拡大しても、国が緊急事態宣言を出さないのは、一つはお金が無いからです。国も都も、これ以上給付金等を出し続けることは難しい状況にあります。(なお、国や都が出すお金は、結局のところ、税金という国民の負担であることも、忘れてはなりません。)
また、緊急事態宣言を出さないことで、コロナとはこうして共にやっていくしかない(社会経済を止めるわけにはいかない)ということを、選択したともいえます。
緊急事態宣言が出されないと、飛行機のキャンセル料なども通常通り発生しますので、コロナによって生じた負荷を、事業者や国だけではなく、皆(国民全体)で分かち合っていきましょう、ということでもあります。
3.医療体制状況
「医療機関は逼迫していない」と言われますが、安心できる状況ではないと思います。
都内の大学病院等の話を聞くと、
・医療従事者は、ずっと緊張の中にあり、かなり疲弊している。
・入院患者が増えてきている。
・国から「コロナ用の病床を増やせ」と言われるが、これ以上無理。なぜなら、これまで止まっていたコロナ以外の患者(がん、脳や心疾患等)の治療も、猶予が無い状況。
その通りだと思います。
4.まとめ
私はずっと一貫して、新型コロナについて、過度におそれさせたいとも、楽観してていい、とも思いません。
事実を事実として受け止め、歴史に学び、日本全体・世界全体のことを考え、前向きに、できることをやりながら、落ち着いて過ごしてまいりましょう、ということです。
ただ、国や自治体のリーダーが「感染者増に衝撃を受けている」とかおっしゃるのを聞くたびに、この国の危機管理は大丈夫かいな、対応策含め、当然想定しておくべきことでしょう、と大いに心配になります。
がんばりましょう。全国での感染拡大を反映して、重症患者数も再び増加傾向です。先月の初旬には、30人程度にまで減少していた重症患者は、ここ3週間で約90人にまで増加しました。
4、5月と違い、私たちは有効な治療薬を複数見つけることに成功しましたが、未だ多くの人の身体を守り命を助ける最も有効で強力な方法は、感染を広げないことであり続けています。
科学の進歩に先行して、色々な仮説も出てきているものの、仮説はあくまで仮説であり、ウイルスについて正しく学べば学ぶほど、まだ多くのことが分かっていないことが分かります。仮説を立てることも大切ですが、難局を正しく乗り切るには、無知であることに自覚的で、謙虚であるべきと思います。忽那先生が『PCR検査の陽性率』をどのように評価するかを解説されて記事にされています。
▶新型コロナのPCR検査陽性率 数値をどう解釈すべきか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200801-00190914/
『各国の状況と比較してみると、必ずしも検査数が多ければ陽性率が低いわけではなく「PCR検査をしまくれば流行は収束する」とは言えない』
としています。
この点は診断学の基礎にあたるところなのですが、
『疫学情報と問診・診察から臨床診断の確率を高め,二次救急病院などへ搬送するか否かの臨床意思決定を容易にする』プロセスが重要です。
▶ベイズの定理と診断学の話
http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse2906.pdf
その、『事前の病状を聞いてからの』PCR検査の陽性率が上がってきているということになります。要注意と思われます。
なお、平均寿命と新型コロナウイルスで亡くなる方の年齢層が似た構成をしている(だから寿命なのだ)という論説がありますが、平均寿命で亡くなっていることを示唆しているわけではありません。
これは、超過死亡率がそれぞれの年齢で押し上げられているということです(超過死亡率とは、その病気で『余分に』亡くなっているという意味です)。
▶Volpato S. A frail health care system for an old population: lesson form the COVID-19 outbreak in Italy. The Journals of Gerontology: Series A 2020.
なお、新型コロナウイルスで亡くなる率は、すくなくともインフルエンザよりも遥かに高いです。
▶Lancet Infect Dis 2020; 20:630-1.
上記の論文では、新型コロナで亡くなっている率が1.38%と見積もられています。現在は0.5%程度のようですが、インフルエンザは0.09%に過ぎません。