2020/8/18
音楽プロデューサー小林武史は、なぜ「農業」に賭けるのか
「きゅうり」の名を持つ会社
2005年11月、音楽家の小林武史は、新会社「kurkku(クルック)」を設立した。フィンランド語で「きゅうり」の意味を持つこの会社は、小林にとって音楽ビジネスと離れ、社会や環境にサステナブルな事業を行うための組織だった。
招待客で賑わうお披露目パーティーの終盤、「小林さん、なんか話して!」という声に応えて壇上に立った小林は、「みんな酔っ払って、ほとんど聞いてないでしょ」と胸のうちで苦笑しながらも、マイクを握った。
「時間をお金にいかに変えるかっていうしのぎを削るような世の中だから、僕らがエコロジーのことを考えているとか、よりオーガニックなスタイルだからということをいくら言っても、その優等生的なところが腑に落ちない人もたくさんいると思います。
たくさんの人の意識が変わるまでには本当に長い時間がかかると思うし、これから世の中がどうなるのかもわからないなかで、ある種の実験精神をもってこの会社を始めました。
新たな選択を重ねることで、この会社がなにを目指すのかがより明確になっていくと思いますが、覚悟を持ってやっていきます。これは僕にとって壮大な実験になると思います」
小林武史(こばやしたけし)音楽家・音楽プロデューサー/1959年山形県生まれ。サザンオールスターズ、Mr.Children他、多数アーティストのプロデューサーを務めながら、自身もメンバーだったMY LITTLE LOVERでも大ヒットを記録。稀代のヒットメーカーとして、日本の音楽史に名を残す。
それから14年後の2019年11月。
小林は千葉県木更津市に農業、食、アートの3つを軸にしたサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」をオープンさせた。
プレミアム会員限定の記事です。
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。


この連載の記事一覧

【実践仕事術】プレゼンの神、澤円の資料作りを全公開
NewsPicks編集部 6347Picks

【藤原和博】私が「学校制服」を改革した方法
NewsPicks編集部 355Picks

【藤原和博】僕らがSNSから自由であるための「幸福論」
NewsPicks編集部 1475Picks

【遠山正道】コロナ禍だからこそ、僕はアートの新事業を仕掛ける
NewsPicks編集部 485Picks

【沖縄発】ブータンを驚嘆させた「養鶏育成率98%」の秘密
NewsPicks編集部 364Picks

東大卒NASA経由、課題解決のプロが挑む「農業流通革命」
NewsPicks編集部 686Picks

【松山智一】コロナ時代に「アート×公共」ができること
NewsPicks編集部 398Picks

【提言】今の働き方に「疑問」を感じている人へ
NewsPicks編集部 959Picks

【真相】コロナで就職氷河期は本当にやってくるのか
NewsPicks編集部 891Picks

コロナ下に、なぜ「言葉の暴力」は生まれやすいのか
NewsPicks編集部 678Picks