2020/8/19

東大卒NASA経由、課題解決のプロが挑む「農業流通革命」

川内 イオ
フリーライター&稀人ハンター
「農業は……私にとっておもちゃ箱みたいです。課題だらけで、それを解決するにはAIとか最先端のものを使わなくてもよくて、でもすごく幅広い知識と知恵が必要だからひとりではなにもできなくて。
家族には『どうせ飽きるんでしょ』って何回も言われたんですけど、飽きてる暇はないですね。どんどん課題はやってくるし、思ったようにいかないし。大変だけど、毎日ワクワクしてます」
2009年、農業シンクタンクならぬ、「農業シンク&アクションタンク」を掲げてエムスクエア・ラボを創業した加藤百合子は、爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。
加藤は極めて珍しいキャリアを歩んできた。
東京大学農学部でロボットアームの研究をした後、航空宇宙工学やMBAで有名なイギリスのトップ校、クランフィールド大学で「スプリンクラーロボット」を作って、10カ月で修士号を取得。
アメリカに渡って「宇宙ステーションで植物を生産する」NASAのプロジェクトメンバーになるも、6カ月で離脱。
日本に帰国してキヤノンで1年働いたのち、静岡の産業機械メーカーの研究職に。出産育児をしながらわずか2年で、毎年数十億の売り上げを叩き出すアルゴリズムを独自に開発した。
さらに、農業ベンチャーを立ち上げて11年目の今年には、自動車メーカー・スズキの社外取締役に就任している。
加藤百合子(かとうゆりこ)1974年千葉県生まれ。エムスクエア・ラボ代表取締役社長。東京大学農学部卒。英国Cranfield University, Precision Farming分野で修士号取得。日本農業ロボット協会会長。スズキ社外取締役。
詳しくは後述するが、このプロフィールだけで、加藤がいかにユニークな人生を歩んできたかわかるだろう。
大学や企業で研究者をしていそうな彼女がなぜ農業のベンチャーを立ち上げたのか、なにを目指すのか?