2020/8/20

【沖縄発】ブータンを驚嘆させた「養鶏育成率98%」の秘密

川内 イオ
フリーライター&稀人ハンター
薬剤を使用しない養鶏業
「国民総生産(GNP)よりも国民総幸福量(GNH)」という独自の指標を掲げるブータン。ヒマラヤ山脈東部に位置する人口約76万人の王国は、「サステナビリティ(持続可能性)」を重視して開発を進めてきた。
世界的に極めて稀な、森林の二酸化炭素吸収量が排出量を上回るカーボンニュートラル国家で、将来もこれを維持すると宣言。2025年までに100%有機農業にすることも目標に据えている。
2019年1月より、この国で薬剤に頼らない、微生物を活用した養鶏技術の指導を手掛けているのが、沖縄・南城市の「みやぎ農園」だ。JICAの草の根技術協力事業として行われているが、みやぎ農園とブータンのつながりは、その前からであることはあまり知られていない。
ブータンの様子(提供:みやぎ農園)
2015年6月、南城市まで視察に来たブータン農林省畜産部の職員が「この方法ならブータンの養鶏はもっと良くなる。農業ももっと良くなるはずだ」と認めたことが、現在の技術指導につながっているのだ。
ポイントは、養鶏だけでなく、農業も良くなると判断されたことだ。
その背景には、地域の野菜生産者と連携し、サステナブルな循環型農業を推し進めてきたみやぎ農園独自の取り組みがある。
キーマンはふたり。薬剤を一切使用しない養鶏業を独自で考案したのち、「美しい村づくり」を提唱して地域の野菜生産者と連携を始めたのが、会長の宮城盛彦。
宮城の理念を引き継ぎ、地域コミュニティを活性化させる循環型農業を拡大してきたのが、3年前に社長に就任した小田哲也だ。千葉大学園芸学部の大学院で遺伝子解析を学び、ドイツ留学経験もある小田は、農業界で異色の存在である。