2020/7/25

【真相】ヤフー川邊CEO、「副業戦略人材」100人募集の狙い

NewsPicks編集長
ヤフーは、本業を持つ副業人材を9月末までに100人以上受け入れ、業務委託契約を結ぶと発表した。
副業といえばこれまで自分の時間や専門性を“バラ売り”することで副収入を得る──というイメージがあった。
だが、今回の取り組みは、毛色が違う。
これからのインターネットについて考える「パートナー」を募集するなど、副業者に経営の中枢となる戦略立案部分まで開放する。
社外にいる“副業参謀”たちに社内のコアな情報を公開しながら協業してゆくスタイルは、働き方の新トレンドになるのか?
それにより、企業と個人の関係に、どんな影響が出てくるのか? CEOの川邊健太郎氏に聞いた。
INDEX
□ なぜ今、副業人材を受け入れるのか?
□ 5時間稼動、5万円は高いか安いか?
□ 戦略部分まで副業人材に開放する理由
□ 何人、どのような人の応募があったか?
□ 雇用が溶ける、正社員が溶ける、とは?
□ 今改めて考えたい、会社の意味
□ イノベーションの本質とは何か?
□ 川邊CEO自身が体感した副業の意義

働き方の変化の行き着く先

──戦略立案や、ツール開発などを手掛ける社外の副業人材を100人以上募集する「ギグパートナー制度」を打ち出し、話題となっています。この制度を始める狙いは?
川邊 この制度を始めた経緯を時系列で説明しますね。
ヤフーでは2月21日に月のリモートワークの回数の制限を解除し、4月7日の緊急事態宣言後は、原則リモート勤務にしました。
かれこれ5か月以上、オフィスに行かない働き方をやっていることになります。これだけリモートワークをやってみて分かったことは、生産性はむしろ上がった、ということです。
そこで、「どこでもオフィス(2014年から始まった、家でもカフェでもどこで働いても良い制度)」をフル開放すること、コアフレックスタイムを廃止し「無制限リモートワーク」を推奨することに決めました。
私自身、この5か月間リモートワークをして体感したことは、自分の時間ができるということでした。
その空いた時間を使って、ワークライフバランスを良くするもよし、勉強するもよし、副業するもよし。
とりわけ今後は、副業する人や機会は増えるのではないかと思います。ヤフーの社員が空いた時間に他社で副業し、何かしら新しい経験をして学んでもらうのもいい。
反対に今は、各界の一芸に秀でた、あるいは面白いアイデアを持った人たちに、ヤフーで副業してもらうチャンスなのではないかと思いました。
日本の働き方の変更の行き着く先はギグパートナー化だなと思い、素直にそれを開始したというわけです。