2020/7/24

【核心】気鋭のクリエイターが明かすYouTubeの「バズらせ方」

NewsPicks 編集部 記者・編集者
まずは、2019年末に話題になったこちらの動画をご覧いただきたい。
人気YouTuber、あさぎーにょさんの動画「もう限界。無理。逃げ出したい。」は、昨年12月の公開直後から話題になり、現在までに456万回再生されている。
一見するとYouTuberが旅行の思い出をつづった動画に見えるが、実は非常に複雑な構成で、あっと驚く仕掛けがある。その面白さで注目を集めた。
実は、この動画はサントリー食品インターナショナルのタイアップ企画。企業がマーケティングの場としてYouTubeを活用する例は増えているが、単独の動画で話題になる例はまだ多くはなく、その点でも異色の存在といえる。
この企画・制作を手がけたのは、コンテンツスタジオのCHOCOLATE(チョコレイト)。気鋭のクリエイター集団で、SNS上で数々の動画を「バズらせる」手腕が評価されている。
YouTubeで「バズらせる」動画のコツとは何か。チョコレイトの栗林和明CCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)に聞いた。

プロの動画は「味」が生まれにくい

── 動画SNSにおけるYouTubeの特徴をどう見ていますか。
栗林 蓄積するメディア人が核になるメディア攻略するメディアの3つのポイントがあると捉えています。
蓄積するメディアというのは、単発ではなく、動画を出し続けることでファンとの絆が蓄積していくメディアということです。いわば「育てていく」側面が強いといえます。
例えば、釣りチャンネルがあったとして、何かが釣れたからといって、いきなり数百万回再生されることはありません。
釣りをするその人の人柄や人間味に、釣り好きの視聴者が少しずつ気づいていって、何かの拍子に再生回数がポンッと跳ねて、そこからまたファンが少しずつ増えていくイメージです。
人が核になるメディアというのは、人間味や、その人らしさが重要になるということです。
攻略するメディアというのは、Googleが培った強いアルゴリズムをしっかり理解し、対応するということです。
例えば、「おすすめ」や「関連動画」の欄に表示されると再生回数が伸びるのですが、そのためには今YouTube上で既に伸びているカテゴリのテーマにひもづけた動画にするとか、いろいろな攻略方法があります。そのあたりを攻略しないと、YouTubeを有効活用することはなかなか難しいです。
(写真:iStock/ardaguldogan)

瞬間的な「バズ」生まれにくいメディア

──YouTubeでは、動画をいきなりバズらせるのは難しいということですか。
そうですね。そもそもYouTubeは他のSNSに比べると、瞬発的な「バズ」というものを生み出しにくいメディアだと感じています。
近年はマーケティングの場としてYouTubeに注目する企業が増えていますが、実は、企業がYouTubeに参入するのはかなり大変で、覚悟が必要だと思っています。
まず、YouTubeの「蓄積して広がる」という特徴は、個人のYouTuberも、企業チャンネルにも、同様に影響します。つまり時間がかかるんです。
それゆえ、企業がYouTubeで一気に情報を広げたい場合は、広告の力を使わないと十分な効果を得られないこともあります。
さらに、YouTubeでは、個人がピュアな想いで、本当にやりたくてやっているのだなという感じ、人間味の部分が強く支持される傾向があるので、動画の完成度が高すぎる「企業感」の強い動画にはファンがつきにくい傾向があります。
──企業マーケティングの目線で見た時、YouTubeの「良いところ」は何ですか。
長く見てもらえる、検索されやすい、という特徴は他のメディアよりも強くあると思います。
YouTubeはTwitterやTikTokに比べて、1つの動画の平均視聴時間が長いので、商品のことを知ってもらえる時間が長かったり、好きになってもらえるチャンスが大きい側面があります。
着実に良いコンテンツを作ってためていった時に、資産になるのがYouTubeの良いところです。
(写真:iStock/pressureUA)

最も大事なのは「人」

──YouTubeで「バズる」動画のポイントは何でしょう。