【サンマーク出版】「全員がヒットメーカー」になる仕組み

2020/7/11
この25年間、「出版不況」をものともせずに、ミリオン8冊を含むベストセラーを連発してきたサンマーク出版。
その経営哲学をひもとく『思うことから、すべては始まる』(サンマーク出版)を上梓したばかりの植木宣隆社長(「隆」は旧字)に、「売れるものづくり」のエッセンスを聞く本連載。
第2話では「3年以上在籍の編集者は全員、20万部以上のベストセラー経験者」という、驚異の打率の秘密にせまる。

「ミリオン」のハードルを下げる

──植木社長は、ミリオンセラーに一番近い編集者の条件として「誰よりも強く、ミリオンセラーを出したいと願っていること」を挙げておられますね。とは言うものの、「自分のつくりたい本をつくりたい」という思いと「つくった本を100万部売りたい」という思いは、必ずしも両立しない場合が多いのではないでしょうか?
植木 もちろん、「本を売りたい」という思いは人によって濃淡があります。
ただ、うちの会社の場合、「100万部売りたい」というのは、人が考えるほど大それた話ではないんですよ。
ノーベル賞を取った研究室からは、別のノーベル賞受賞者が出てきやすいという話がありますよね。ノーベル賞というと、とうてい手が届かないような賞だと思い込みがちですが、日頃くだらない話をしている、大して風采のよくない仲間が取ったとなれば「だったらオレにも取れるんじゃないの?」という心持ちになる。
──ワンチャンス、自分にもあると。
そうなんです。それは結構、重要なことだと思うんですよ。
なにせ私自身が、社員からは酔っぱらいのアホ社長と思われているわけですが(笑)、その社長が400万部を超える本を出したことがあると。すると、ミリオンのハードルがぐっと下がるのです。
わが社では毎年、年頭に「大ボラ吹き大会」と称して、全員が「今年はこうします」という大ボラ目標を発表します。
そうやって、社員の「限界意識」を上手に消していけば、相当大きなことができるはずだと思っているのです。
「限界意識」を突破すれば、大きなことができる(DominikMinkus/Getty Images)
──その中で、長くヒットに恵まれていない社員がモチベーションを失わないためには、どのような工夫をされているのでしょうか?