2020/7/24

【一休 社長】ユーザーへの提供価値を最大化するベストな方法

Sakaki Jun
一休.com
高級ホテル・旅館やレストランの予約サービスを展開する一休は1998年に設立され、この分野の草分けとして成長。競合激化などにより一時低迷するも、ロイヤルカスタマーに特化し、ユーザーファーストを徹底することで、2012年から再び右肩上がりで業績を伸ばす。
それに一役買ったのは、2012年にコンサルティング会社から派遣され同社の経営に携わり、現在社長を務める榊淳氏だ。
メガバンク時代は金融工学を駆使し、デリバティブ取引などのプライシングを担い、その後、スタンフォード大学大学院でコンピューターサイエンスを学ぶ。ボストン コンサルティング グループを経て、経営コンサルタントとして出合ったのが、一休だ。
社長業は週1日。週4日はデータサイエンティストとして、データ分析やコーディングなど社員業に従事するという変わり種。いかに同社を再成長へと導いたのか。バックグラウンドを振り返りつつ、その独自の経営スタイルを紹介する。(全7回)

施設を押さえても勝てない

簡単に言うと、一休のサービスはホテルとお客様のマッチングビジネスです。マッチングビジネスの要諦は、どちらにつくか。
榊 淳(さかき・じゅん)/一休 社長 兼 CEO
1972年熊本県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。スタンフォード大学大学院修士課程修了。2003年ボストン コンサルティング グループに入社。09年からアリックスパートナーズ。13年一休に入社。副社長COOを経て、16年2月から現職。
商社のビジネスの例をよく出すのですが、例えば、石油を輸入するビジネスだとします。石油を輸入するビジネスは、石油の権益を押さえたら勝ちです。石油を欲しい人がたくさんいますから。
では小麦粉を輸入するビジネスだったら、どうでしょうか。