新型コロナの集団免疫 人口の約43%獲得で達成か 米科学雑誌
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ヒトに免疫がない時の感染の広がり方を示す基本再生産数が2.5であるとき、集団免疫は約7割の人の免疫獲得で達成されるという風に計算されますが、記事の扱っている研究では40%強になったと報告しています。
この数字の違いは、本研究で人間の「異質性」を組み込んで計算をしたからこそ生まれています。上の私の単純計算には、全ての人が均質に動き回り、均質に感染リスクを持つという想定が必要ですが、現実世界はそうではありません。この研究では、年齢、個人の活動度によって感染リスクが異なることを考慮しています。
具体的には年齢を6つの層に、個人の活動度は3つのレベルに分けて、計算をしています。
例えば、現実には自宅に閉じこもっている人は感染しようがなく、外で動き回ってたくさんの人と接触する方とは感染リスクが大きく異なることはお分かりいただけると思います。この違いを層別化して組み込んだ研究ということです。
結果として40%程度と、比較的納得しやすい数字になっているのではないかと思います。
ただし、この研究でも、年齢層に応じた感染対策の異なりや、人口密度の違いによる影響などは考慮されておらず、実社会はこの研究よりさらに複雑で異質性が高いということになります。このため、示された数字も全く完璧なものとは言えません。
しかし、少なくとも感染対策を多かれ少なかれ行なっている地域において、集団免疫に必要な免疫獲得率が低下するというのは、複雑な数理モデルを用いなくてもなんとなく想像いただけることではないかと思います。
なお、「集団免疫」というのは何も自然に感染が広がって得られるものとイコールではありません。こういった数値は、ワクチンの普及を考える上でも参考にすることができます。
引用文献: https://science.sciencemag.org/content/early/2020/06/22/science.abc6810年齢別、活動レベル別にカテゴライズすることで、従来の推測よりも低い割合の集団免疫でよさそう、という試算ですが、
現実社会はさらに複雑ですし、
国によっても異なりますし、
さらには、獲得免疫がどの程度の期間もつのか、も重要な要素です。
カンペキな試算は難しいですが、
今後ワクチンが開発された際に、ワクチン接種の割合の目標などの参考にはなると思います。先日は、コロナ感染によって獲得された抗体が、2ー3ヶ月後には急激に効果下がるという研究が発表されていた。
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18日付の米医学誌「ネイチャーメディシン」によると、中国で行われた研究で、新型コロナウイルス感染症から回復した人の抗体レベルは有症状と無症状両方の患者で2─3カ月後に急激に下がることが確認された。
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2020/06/23-20.php?page=1
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上記の研究結果が正しいなら、そもそも集団免疫獲得戦略は意味がないことになる。
集団免疫路線のスウェーデンは、死亡率がEUの中でも突出しているが、首都ストックホルムでの抗体保有者比率は14%程度。仮に集団免疫戦略が有効だとしても、まだ、獲得には低い水準だ。
ただ、ロックダウン戦略をとった国よりは陽性率が高くなるので、
スウェーデンは、人の交流が再開されたEUにおいても各国から入国拒否されている。
どの戦略が正しいのかは、数年後に振り返ってしか、判断できないのかもしれない。
ただ、コロナウィルスに対して取った戦略の違いにより、世界の国々が分断されてしまうということは、ほぼ確実のようだ。