【解説】ネットで暗躍「反ワクチン派」の狡猾すぎる情報戦略

2020/5/22
「情報戦争」に備えよ
先週、ソーシャルメディアでバイラルになったドキュメンタリーがある。『プランデミック』と題され、新型コロナウイルスに関する根拠のないデマや陰謀論を一夜にして何百万人ものアメリカ人に拡散した。
先日、その動画を見ていた筆者の頭に恐ろしい考えが浮かんだ。新型コロナウイルスのワクチンが開発されても、アメリカの半数が接種を拒んだらどうなるだろう?
これまでに流れてきたデマの数々──5Gの基地局がコロナの感染を加速させている、漂白剤を飲んだり紫外線を照射したりすれば治る、アンソニー・ファウチ博士は反トランプの陰謀の片棒を担いでいる──これらすべてはワクチンが開発されたときに起きる、より大きな情報戦争へ向けた前哨戦にすぎないのではないか。
5Gがコロナの感染を加速させているとするデマも拡散した(Gary Miller/Getty Images)
その情報戦争で、公衆衛生当局者や政治家たちが対峙することになるのは「反ワクチン派」だ。
彼らはソーシャルメディアにデマや陰謀論、プロパガンダを洪水のように垂れ流し、ワクチンは生命と経済を救う奇跡ではなく、脅威なのだと人々に信じ込ませようとする。
筆者は反ワクチン派を長年追ってきた。彼らのフェイスブックやインスタグラムを観察してわかったのは、多くの人が考えているよりも戦略的かつ組織化された勢力だということだ。
反ワクチン派はメディア操作に長け、効果的にメッセージを伝えるすべを知っており、ソーシャルメディアの弱点を突くのがうまい。
一例を挙げるならば、フェイスブックとYouTubeが『プランデミック』の動画を削除し始めた直後、反ワクチン派はそれを少しだけ編集して再投稿した。フェイスブックとYouTubeの自動化された削除ソフトウェアを回避できるぐらいの微妙な編集を加えたのだ。
端的に言えば、反ワクチン派はコロナのワクチンが完成する日のために訓練を重ねている。そして彼らは、非常に巧妙なやり方で、新ワクチンに対する疑念を人々の心に植え付けるだろう。
筆者がそれを懸念するのは以下の3つの理由からだ。