新型コロナウイルスの治療薬に「レムデシビル」承認 国内初
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レムデシビルは、日本でも米国でも、緊急時の特例的な承認ですが、適切に使用され、患者さんを救い、そして、医療現場の方々の負荷や社会の不安を、少しでも解消してくれることを願います。
https://newspicks.com/news/4870551?ref=user_5186216
通常、新薬は、研究・開発、臨床試験を経て、有効性・安全性等について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)での審査を受け、食品衛生審議会への諮問と答申を経て、そして、厚生労働大臣が承認する、ということになります。
レムデシビルは特例承認、アビガンは適応拡大(効能追加)ですので、一般的な新薬とは若干異なりますが、いずれにしても、国民の生命と健康に関わる重要事でありますから、その有効性・安全性について、専門家である審議会等で科学的に認められてはじめて、厚生労働大臣が承認できることになります。
現在臨床研究中のアビガンについても、7,8月頃と言われていた承認が、今月中に行われる方向です。
しかし、首相から、例えば、承認のプロセスについて時間を短縮するようにといった指示はあり得ますが、承認の是非そのものや、承認の時期などについて、政治的に左右されたり、決定されることがあるかのように誤解を招くような発言は、医薬行政の公正性や当該薬そのものへの信頼性を損なうおそれがあるように感じます。迅速に承認されたのはよいことですが、
決して、必ず著効する『魔法の薬』ではなく、現時点では効果が期待できる、という段階であること、
重症例に用いる薬なので、検査で陽性と診断されるやいなや、軽症にもかかわらず、レムデシビルを投与しろと要求するようなことは決してしないで頂きたいこと、
感染を予防する薬(ワクチン)ではないので、レムデシビルがあるから感染しても大丈夫、という発想はナンセンス、
すなわち、レムデシビルが承認されたからといって、緊急事態措置を緩めてよい理由にはならない、
など、承認に浮足立たずに、正しく理解して頂きたいと思います。
メディアのみなさまも、正しく情報発信して頂けますようお願い致します。もう一度薬のおさらいをしておきましょう。
この薬は、RNAポリメラーゼ阻害剤と呼ばれる種類の薬剤です。
RNAポリメラーゼというのは、人の細胞にウイルスが感染したあと、ウイルスを増幅する際に鍵になるタンパク質です。この働きがレムデシビルでブロックされると、ウイルスの増幅ができなくなり、感染症が収まっていくというメカニズムです。
この薬剤は、アビガンとは異なり、動物モデルでの実験で、優秀な成績を収めています。
このため、満を持しての臨床試験への登場でした。しかし、臨床試験では、まだ死亡率を改善するなどの確固たるアウトカムを証明することはできていません。
薬剤の有効性を示すための比較試験であるsecond SIMPLE trialの結果は今月末に報告されますので、今はそれを待つのみですが、中間報告の結果が「期待を持たせるもの」だったので、早期承認につながっています。
まだ死亡率を改善するような「魔法の薬の登場」とは言えず、あくまで死亡者を減らす唯一の方法は、感染の急速な拡大を防ぐことであるという点には注意が必要です。