米FDA、「レムデシビル」のコロナ向け緊急使用を承認
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レムデシビルは、特例承認(※1)の対象ですので、今回米国で緊急使用認可(※2)されたことで、日本でも間もなく承認され、使用が可能になる(※3)ことになるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の主に重症患者を対象に、その生命を救い、また、早期の回復の助けとなることを願います。
ただし、どんな薬にも副作用があります。大事なことは、
・必要性や緊急性等を勘案して、その薬を使用することが、使用しない場合よりも、患者にとっての利益が大きいこと
・予測しない副作用が無いこと
・医療関係者や患者、そして社会全体が、副作用(が生じる可能性)について、正確に理解した上で、適切に使用すること
です。
今回は、米国でも日本でも、通常の承認とは異なる「緊急時の特例的な承認」です。
「副作用があるからダメ」、「有効性がきちんと確認されていないからダメ」なのではなく、「そうであっても、使用した方が良い場合があるから使用する」ということです。
こうしたことを踏まえた上で、新型コロナウイルス感染症で苦しむ多くの患者さんを救い、そして、医療現場の方々の負荷や社会の不安を、少しでも解消してくれることを願います。
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(※1)特例承認(日本):緊急時に、他国で販売されている日本国内未承認の新薬を、通常よりも簡略化された手続きで承認し、使用を認めること。
(※2)緊急使用認可(米国):緊急性が高いなど一定条件を満たせば特例として認める仕組みで、新薬の有効性を正式に確認した「承認」とは異なる。
(※3)現時点でも、観察研究や国際共同医師主導治験として、日本国内で投与が行われている例はある。いろんなコメントにあるように、中国の臨床試験では患者のエントリーが後半足りなくなって有効と出ず、アメリカの試験では致死率に有意差は出ず、入院期間を短縮する効果だそうです。
日本とアメリカでは、圧倒的な死亡数の差や、肥満の人の割合の多さなど背景が違うこともあります。投与のタイミングによっても効果は大きく異なると思います。
なんらかの治療薬が存在することは希望につながるのですが、副作用もあることですので、やはり日本での臨床試験の結果を見ないといけないと思いますし、本当の効果判定までは時間がかかると思います。新型コロナウイルス(SARS-Cov2)の最前線で対処されている忽那先生の記事がタイムリーに発表されています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200502-00176470/
要約すると、
☑通常新規医薬品は1年以上を要する期間を『特例承認』により短縮。
☑米国FDAがレムデシビルの緊急使用を承認したため、今後日本でも承認手続きが行われる
【レムデシビルとは】
☑エボラ出血熱の治療薬の候補だったが、他剤より治療効果が劣ることが判明し本来の使用は中止されている
☑『培養細胞』に対する有効性が他剤に比較して良好だった
【3本のランダム化比較試験】
☑ 中国からの237例の報告
レムデシビルはプラセボ群とを比べて、臨床的な改善なし。
※ただし、症例数が少なかった可能性が指摘
☑ ACTT1(プレスリリース情報)
レムデシビルはプラセボより臨床的改善が31%短縮
死亡率には有意差なし(レムデシビル8.0% vs プラセボ11.6%)
☑SIMPLE試験(プレスリリース情報)
レムデシビル5日間vs10日間投与した群の比較(プラセボとの試験ではない)で死亡率や臨床的改善・副作用に有意差なし
【まとめ】
レムデシビルは、臨床的改善までの時間が短くなるようだが、死亡率には有意差があるほどではなく、劇的に効く薬剤とは言えない
…となろうかと思います。
有用な薬剤が前線で使えるようになることは、とても助けになりますし、心強いです。多方面の方々の努力の結果と思っています。
しかし、現状ではレムデシビルが使えるようになっても楽観はできないように感じます。