(ブルームバーグ): 開店から1カ月が経過した任天堂の直営店「Nintendo TOKYO(ニンテンドートウキョウ)」(東京都渋谷区)に連日多くのファンが訪れている。収益への直接的な影響はわずかだが、会員制交流サイト(SNS)上の書き込みも相次ぎ、広告効果もありそうだ。

同店の公式ツイッターでは、開店した11月22日以降毎日、整理券の配布状況や入店までの待ち時間を知らせている。12月27日は、午前10時9分までに整理券の予定枚数の配布を終了。10時時点の入店までの待ち時間の見込みは2時間半だった。9日には「本日も屋外でお待ちいただく時間が想定されるため、暖かい服装でお越しください」との書き込みもあった。

任天堂の直営店は、米ニューヨークに次いで2店目。マリオやリンクなど人気キャラクターを活用して収益源を多角化し、ゲーム販売につなげる戦略の一環だ。スマートフォン向けゲームやテーマパーク参画にも乗り出している。

エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは電話取材で、直営店舗を「形を変えた広告」と位置付ける。売り上げ規模は数億円にとどまるとみているが、ゲームのテレビ広告など従来の形態は経費になっていたにもかかわらず、同店舗は利益を生み出す点が画期的だという。SNSで拡散されることで「金銭には換算できないような効果」も生まれると指摘する。

渋谷パルコの6階にある同店舗には、限定グッズを含む約1000点の商品に加え、マリオやリンクなど人気キャラクターの大きな人形やスイッチのゲーム体験コーナーも設置されている。同フロアにはポケモンセンターやカプコンのアンテナショップもあり、ゲームファンや訪日外国人でごった返す。

店員は列ができなかった日は一日もないと話した。観光客の一人は、会計のために30分以上並んだと述べた。

ただ、現在の人気がいつまで続くかは不透明な部分もあり、長い待ち時間は顧客を逃しているとの見方もできる。任天堂は電子メールで「店舗運営については引き続き改善に努めていく」と回答した。

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