【安田洋祐】どんどん役立つようになる、経済学の話をしよう

2019/11/17
経済学は、難解で実社会とはかけ離れたイメージが強い──。
金融緩和や増税、財政出動などさまざまなトピックで学者同士の意見が食い違う中で、一般のビジネスパーソンにとっては何が正しいのかを判断することは難しい。
しかし、経済学の進歩は着実に進んでおり、実際の生活により役立つものとなりつつあると大阪大学大学院経済学研究科の安田洋祐准教授は語る。
その一つの象徴が、今年のノーベル経済学賞受賞となった「貧困解消のための実験的なアプローチ」だ。
今回のノーベル経済学賞の受賞者たちは、途上国での社会実験でエビデンス(証拠・根拠)を積み上げ、効果的な貧困対策をいくつも発見してきた。
今回のノーベル経済学賞の内容とその意味合い、そして、これからの経済学が置かれていく状況について安田氏が解説する。
安田 洋祐 (やすだ・ようすけ)経済学者、大阪大学大学院経済学研究科准教授。専門はゲーム理論。2002年に東京大学経済学部を卒業。米プリンストン大学経済学部で2007年にPh.D.を取得。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から現職。

社会的インパクトが評価

──今回「貧困解消のための実験的なアプローチ」がノーベル経済学賞を受賞した理由を改めて、解説してください。